10月に入り、香港では上海ガニのシーズンが本格的にスタートした。香港・尖沙咀のハーバーシティーの港威商場にある淮揚料理店「个園竹語(Gold Garden Shanghai Cuisine)」(Shop 3202, 3/F, Gateway Arcade, Harbour City, 3-27 Canton Road, Tsim Sha Tsui)では1日、秋の上海ガニシーズンに合わせた限定メニューの提供を始めた。特別コース「六両大閘蟹・八味聚金宴」「七両大閘蟹・商務饗宴」を提供し、上海ガニのうまみを引き出した料理をそろえる。
引き締まった甘みのある蟹肉に、濃厚でコクのあるカニミソが特徴
「上海ガニ」とは、主に中国の長江流域を中心に中国東岸部に生息しているモクズガニの一種。引き締まった甘みのあるカニ肉に、濃厚でコクのあるカニみそが特徴。中国では「九圓十尖」という上海ガニの旬を表す言葉があり、旧暦9月には甲羅の腹側が丸い形をした雌を、10月には腹側がとがった形をした雄が旬とされる。雌は鮮やかなオレンジ色をした硬めのカニみそが詰まり、卵黄や栗のように香ばしく濃厚な味わいが広がる。雄はねっとりとしたカニみそが、とろけるような独特の粘りと強いうまみが感じられる。
かつては船内に積み込むバラスト水などを通じて欧米各地に定着し、国際自然保護連合の「世界の侵略的外来種ワースト100」や国際海事機関の「侵略的外来種の世界ワースト10」にも認定されるなど、欧米では「生態系を脅かす侵略的外来種」が、東アジアでは「秋のごちそう」として親しまれている。
一般的な調理法としては、縄で縛ったまま蒸すことが多く、素材本来の甘みとうまみを引き立たせる。中医学ではカニが体を冷やす「寒性」の食材とされるため、体を温めるシソと一緒に蒸したり、しょうが湯や温かい酒とともに食べることが多い。ほかにも、小籠包の具材やあんかけ豆腐、麺料理のソースなどとしても広く親しまれている。
中国本土では水揚げが管理されており、秋になると市場に多く出回るが、今年は夏の猛暑による影響も少なく、収穫量が多いという。最も有名とされる産地「陽澄湖」では今年、9月28日に水揚げが始まった。香港で「大閘蟹」の名前で親しまれている上海ガニの解禁に合わせ、各レストランが限定メニューを用意している。
个園竹語のメニューは、歴代の国家元首専属シェフの技を継承する料理長の曾昭亮シェフと王子楽シェフが共に開発した。淮揚菜の伝統として素材本来の味を生かし、蒸し作業にはショウガ、ネギ、花彫酒だけを使用。手作業で丁寧にほぐしたカニ肉やカニみそを生かし、雄と雌のみそを使い分ける。カニの冷え性を和らげる「温中散寒」の食材を取り入れた全8品のメニューで構成。 両コースはピリ辛の先付け「个園滬式●盤」で始まり、温めるメインディッシュへと続き、最後はショウガ茶のデザートで締める。
「六両大閘蟹・八味聚金宴」(598香港ドル、2人以上)では、フカヒレと合わせた「鮮拆蟹粉●魚翅」、えび団子「蟹粉芙蓉牡丹蝦球」、紫蘇とショウガを加えて蒸し上げた「清蒸江蘇六両大閘蟹」、外サク、中フワの 「特選私宴老上海燻魚」、濃厚な鶏スープでできた「揚州蘿蔔扣花膠」、黒豚を入れた「原隻蟹粉小籠包」、締めに「桂花●薑芝麻湯圓」を提供する。
「七両大閘蟹・商務饗宴」(1,288香港ドル、2人以上)では、3品目からチーズをふんだんにのせた「芝士●小青龍」へ変わり、より大きい「清蒸江蘇七両大閘蟹」、7日をかけて仕込んだ「紅燒25頭南非乾鮑魚伴花膠」、爽やかな「蟹粉●時蔬」、「原隻蟹粉小籠包」、最後にツバメの巣が入った「燕窩薑茶芝麻湯圓」で締めくくる。
そのほか、カオルーン・シャングリラの「夏宮」から「蟹粉套餐」(988香港ドル)、四川・広東料理店「稻成」や上海料理店「十里」から「金秋大閘蟹餐宴」(378香港ドル、2人以上)と「龍蝦・大閘蟹金秋饗宴」(598香港ドル、2人以上)、ハイアットセントリックの「Cruise」から「大閘蟹 Feed Me!」(628香港ドル、2人以上)など、各レストランで限定コースが登場している。中には上海ガニのほかに、伊勢エビや日本食材を取り入れたメニューも並ぶ。
●盤=手へんに并、●魚=火へんに會、●薑=多へんに句、●小=火へんに局、●時=手へんに八。