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エルメス、香港の西九文化区で体験型展示 ブランドの歴史と職人技を表現

香港でエルメスの世界観を表現するイベントが開催

香港でエルメスの世界観を表現するイベントが開催

 フランスの高級ブランド「エルメス(Hermes)」が現在、香港・西九文化区のフリースペース(Freespace)で、ブランドの歴史や代表的な製品をテーマにした演劇・展示イベント「Hermestories(エルメストーリーズ)」を開催している。

会場内にはさまざまなエルメス商品を工夫して展示

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 同イベントは、エルメスが世界各地で展開する文化プロジェクトの一環として行うもので、単なるブランド展示ではなく、演劇とインスタレーションを融合させた没入型体験を特徴とする。劇作家のポーリーヌ・ベイル(Pauline Bayle)が脚本を手がけ、演出はジョー・ハフトン(Joe Hufton)が担当した。観客は舞台作品としての世界観を鑑賞しながら、エルメスを象徴するアイテムや職人技に触れ、約190年にわたるブランドの歩みを体感できる。

 作品の主人公は「Lad(ラッド)」と呼ばれる馬丁(ばてい)。エルメス創業の原点である馬具工房の歴史を象徴する存在で、若い女性俳優が演じる。物語では、ラッドと語り手がパリのサントノーレ通りを散策しながら、エルメスの世界観を形作るさまざまな人物やモノと出会っていく。舞台は現実と幻想が交差する構成で、言葉遊びや詩的な歌、ユーモアあふれる対話を交えながら展開する。

 公演で特に注目されるのが音響演出で、手で音を表現するフォーリーアーティストが舞台上で実際に音を作り出し、エルメスの素材や職人の動きを用いて独特の効果音を生み出す。シルクやレザーなどブランドを代表する素材そのものが演出の一部となり、視覚だけでなく聴覚を通じてエルメスのクラフトマンシップを体験できる。

 物語の中にはオレンジ色のボックスやシルクスカーフ、ハンドバッグの「ボリード(Bolide)」など、ブランドを象徴するアイテムが登場する。さらに、舞台装置はブランドの歴史における重要な出来事や革新的な挑戦を表現するための道具として機能し、エルメスの創造性と革新性を観客に伝える仕掛けとなっている。

 舞台と併設される展示空間も見どころの一つ。会場は劇場の大道具倉庫を思わせる構成で、観客が自由に歩きながら作品を鑑賞できるよう設計されている。展示では、ブランドを代表する製品を間近で観察できるほか、それぞれの誕生背景や製作工程、デザインの思想なども紹介する。

 中でも象徴的なのが、エルメスを代表するハンドバッグの「ケリー(Kelly)」や「バーキン(Birkin)」などで、これらのレザーグッズのほか、鮮やかな色彩で知られるシルクスカーフなど、同社が展開する16の職種(メティエ=metiers)の多様なものづくりを紹介している。ブランドの原点である馬具製作から革製品、シルク、ライフスタイルアイテムに至るまで、エルメスの創造の広がりを一望できる内容となっている。

 エルメスのアーティスティック・ディレクターを務めるピエール=アレクシス・デュマ(Pierre-Alexis Dumas)は、「エルメスの全てのオブジェには語るべき物語がある」とコメントを寄せる。製品は職人や販売スタッフ、顧客との出会いを通じて生まれ、ブランドの歴史や創造性を映し出す存在だと説明する。さらに、故ジャン=ルイ・デュマが残した「デザインに忘却はない」という言葉を引用しながら、「Hermestoriesはその精神を喜びに満ちた形で表現したもの」と位置付ける。

 1837年創業のエルメスは現在も創業家による独立経営を維持している。世界45カ国に約300店舗を展開し、2026年6月末時点で約2万7100人を雇用。そのうち約1万6600人がフランス国内で働いている。生産の大半をフランス国内で続けることで、職人技術の継承にも力を入れている。

 入場無料。事前登録制。11月8日まで。