上海ガニのシーズン到来-今年はサイズが小さめ、価格は高め

上海ガニを片手に笑顔の陳伯さん

上海ガニを片手に笑顔の陳伯さん

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 10月に入り、香港の各中華レストランが上海ガニのメニューを並べ始めたほか、街中でも上海ガニを売る店が存在感を放ち始めた。

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 香港・尖沙咀からほど近く、キンバリーロードから一本南側のキンバリーストリート(18 Kimberly Street,TST)に路面店を構え、カニを販売する老舗「永利公司」。ここで30年以上にわたり店に立ち続けてきた陳伯さん(80)は「今年は昨年に比べて価格が20%程度高く、サイズも小ぶりなものが多い」と話す。

 陳さんはカニを売るビジネス一筋。カニとともに歩んでいる人生を振り返り、「30年、40年前は誰も上海ガニが大きなビジネスになるとは思わなかった」と話し、昨今の利益だけを考えた上海ガニを取り巻く状況に苦言を呈する。ビジネスになると、収穫数を増やしたり、少しでも大きなものを育てようとしたりして、天然でないものが出回っているという。

 地元メディア「蘋果日報」も9月16日付の記事で「ドイツ汽船が持ち込んだ上海ガニ」と題し、「上海ガニの卵や幼生が含まれた水がヨーロッパに持ち込まれたことで、ここ10年テムズ川やライン川に通じるヨーロッパの湖で上海ガニが繁殖し、生態系を壊すと危惧されている」と報じた。一方では「大きなビジネスになりつつある」と伝え、ヨーロッパで繁殖した上海ガニを捕獲して、スーパーマーケットやレストランに出荷する漁師も現れているという。

 上海ガニは、もともと上海の郊外、陽澄湖で育ったものが良品とされ、「大閘蟹」と呼ばれ高値で取引されてきた。「よそで育ったものを陽澄湖産であると偽って売り込むケースも後を絶たない」と、陳さんはカニの腹の模様や堅さの違いを見せながら見分け方を説明する。

 同店で扱う上海ガニは、オスが1斤(約600グラム)当たり480香港ドル(大閘蟹)、ブランド種でないものが360香港ドル、メスが640香港ドル(大閘蟹)で、ブランド種でないものが560香港ドルだ。甲羅を押して、カニの目を動かすことで新鮮さを選別できる。オスより早く食べ頃を迎えるメスを中心にちょうど売れ始めたところ。同店の1シーズン当たりの販売量は約2000個にも及ぶ。

 「今年の上海は暑かったので、育ちが悪く、時期も全体的に遅くなっている」と陳さん。同店は「本物の上海ガニ」を扱っていることを強調しながら、「食べ頃は15日以降になるだろう」と話す。

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