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日本・香港合作の映画「二人小町」、ミラノ国際映画祭に選出 作品賞・主演男優賞部門で

●魚涌のモンスターマンションも撮影現場のひとつ

●魚涌のモンスターマンションも撮影現場のひとつ

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 芥川龍之介の戯曲を原案に昨年春に全編香港で撮影した日本・香港合作の映画「二人小町」がミラノ映画祭で作品賞と最優秀男優賞にノミネートされ、11月24日、ミラノで結果が発表される。同映画祭は個性的な作品があることでも知られ、20回に及ぶ歴史のある映画祭の一つ。

 同作品は「カメラを止めるな」の撮影担当曽根剛監督、主演男優は香港で活躍する日本人タレントのSOKO(和泉素行)さんで、全て広東語で撮影された日本映画。小町役は香港女優の陳漢娜(Hanna)さん、マカオ出身女優の劉?琳(Eliz Lao)さんが演じ、「カメラを止めるな!」で主演男優を務めた濱津隆之さんも出演している。

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 香港で撮影した理由について、曽根監督は「日本の芥川作品という時期、作品の中でも30年くらい時の流れの変化に、ふと香港を思い出した。6年前にも来たことがあったが、一昨年香港に来た時、街の変化を目の当たりにし、古いものと新しいものが混在しているここがぴったりであると考えた。今の香港を撮っておきたいという気持ちから香港での撮影を決行した」という。

 出演者を選ぶに際し、女性2人共、割とクラシカルな中国的古典風な女優を選んだという。死に神は広東語で話した場合にも国籍不明感の日本人で考えており、どこから来たのか分からないミステリアスな感じが出せるだろうとSOKOさんに白羽の矢が立った。

 ストーリーは現代版「二人小町」で人間の浅ましさを描いたもの。死に神である王喜龍が、地獄に連れて行く予定の女と恋仲になり、自分が死に神である事を明かして、これから小町を地獄へ連れていくことを告げると、小町はろうばいし、王との子を妊娠しているとうそをつき死ぬ事から逃れようとする。困った王は、彼の人の好さから、名前と年が同じ女であれば代わりとして地獄に連れていくことが可能であると告げる。すると小町は、自分の友人で同姓同名、年も同じ、黎小町を身代わりにと懇願する。黄泉の使いは2人の小町のいずれも連れ去ることができず30年後に変わり果てた2人の小町に再会する…という原作の内容を現代版にアレンジしたものに仕上げた。

 SOKOさんは、撮影について、「監督を含めた『カメ止め』のスタッフ陣のタフネスさに感服した。撮影期間中監督とカメラマンさんは恐らく毎日1、2時間くらいしか寝ていなかったが、ただものすごく楽しみながら撮っていた」と振り返る。広東語という環境だったからこそ、一緒に映像づくりをしていく雰囲気が他の撮影とは違ったようだ。

 同作の和田有啓プロデューサーは「香港は交通機関が発達しているので非常に撮影しやすい環境だった」と振り返る。香港の深水●(サムスイポー)、●湾(ツェンワン)、尖沙咀(チムサーチョイ)のプロムナード、そして現在では撮影が禁止となっている●魚涌クォーリーベイのモンスターマンションなどもロケ地として登場する。

 現在日本公開を目指し調整をしているが、最終的には香港や台湾での公開も狙う。

 深水●=土へんに歩、●湾=草かんむりに全、●魚涌=魚へんに則