香港の洋菓子店に日本人パティシエが参画-日本人1人の環境で奮闘

日本の洋菓子技術には香港人のファンも多い

日本の洋菓子技術には香港人のファンも多い

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 香港の飲食グループ「JCグループ」は傘下のケーキショップ運営に日本人パティシエを採用し、ケーキとパンの店「A la folie(アラフォリ)」を旺角東駅直結のショッピングモール「新世紀広場」(Shop247,2/F,The Grand Century 193 Prince Edward Rd.West,Mong Kok)にオープンした。

来港後、休まず働く洋菓子職人の加藤智彦さん

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 同店のオープンを前に香港に渡った洋菓子職人の加藤智彦さんは、日本の六本木ヒルズクラブやグランドハイアットをはじめとするハイアットグループで20年腕を振るった経験を持つ。同グループはこれまでもケーキショップを経営していたが、加藤さんの参画により日本職人の味と技術を使って安定的な味と新たな顧客層を取り込む構え。

 持ち帰りだけでなく、店内の喫茶エリアでも楽しむことができるケーキ類は全部で15種類。価格は1個35~42香港ドル。エクレアはキャラメルと完熟バナナやコンデンスミルクを入れたトフィークリームと砂糖なしの生クリームにチョコレートを載せて仕上げたもので、メーンのクリームの甘さとそれを補う生クリーム、脇に添えられたサクサクしたパイが一つになって、いくつもの食感をもたらす一品。

 加藤さんは数カ月の香港での仕事を振り返り、「一つの食材をどのように効率良く使うかを考える」という日本の良さにあらためて気が付いたという。イチゴに痛んだ箇所があれば取り除いて刻んで別のものに使い、クッキーが在庫過多であれば賞味期限の前にパウダーにして使うなど、無駄のなさを追求する日本と比べて、香港で目の当たりにした「食材を目的に合わせて用意し、使わなければ破棄」という文化に困惑することもあるという。「高いものでも効率よく工夫して使うことで最終的にはコストを下げることができるという考え方を伝えたい」と意気込む。

 作ることだけでなく、食材の調達からコスト管理なども含め全体に渡って担当する上で、加藤さんはふんだんに高級なものを使うのではなく、それぞれの食材を生かし、香港だからこそ割安に輸入できる食材を選ぶなどして、日本が誇る洋菓子文化を広めていきたいという。土地柄を生かしたケーキ、「豆腐チーズケーキ」など風変わりなものにも挑戦するなど、「日本人一人という環境の中で1年の間にどれだけの成果を出すことができるか頑張りたい」と抱負を語る。

 営業時間は12時~22時。

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