日本のロックバンド「あたらよ」が10月19日から22日にかけ、香港で初の単独ライブ3公演をダイヤモンドヒル駅近くの「PORTAL」で行った。日本のみならず台湾や中国本土でも支持を集める同バンド。初の香港公演には地元香港のファンに加え、中国本土からも観客が訪れ、ファンが会場を埋め尽くした。
「あたらよ」は2020年に活動を開始した3人組バンド。「切ない歌詞と透明感のあるサウンド」を特徴とし、代表曲「10月無口な君を忘れる」がSNSを中心に大きな話題となった。同曲はストリーミング再生1億5000万回を超え、TikTokでも1億回以上再生されるなど、日本の若い世代を中心に人気を集めている。バンドは活動開始から1年足らずで音楽チャンネル「THE FIRST TAKE」にも出演した。
香港公演は、アジアツアー「夕立が去ったその後で」の一環で開催したもの。会場となったPORTALでの3公演は全てソールドアウトとなった。当初は19日のみの開催予定だったが、想定を上回る申し込みがあり、2日増やして各日550人以上、3日で1650人もの観客が集まった。
近年、中華圏で急速にファン層を拡大している同バンド。2024年に開催した初のアジアツアーは追加公演を含め全公演が完売。中国の動画共有サイト「Bilibili」では楽曲「夏霞」が人気動画クリエーターによって紹介されたことをきっかけに認知度を高め、中国の音楽配信サービス「網易雲音楽」でもチャート上位にランクインしている。2025年に行ったアジアツアーでも北京、杭州、上海、武漢、成都、広州、深圳、台北などでソールドアウト公演が相次ぎ、中華圏における人気の高さを改めて証明した。
「大家好(こんにちは)」のあいさつで始めたボーカルのひとみさん。初めてライブでの眼鏡姿で登場したひとみさんに「かわいい」の声が会場に響く。「既に東京は寒くて香港は温かくてちょうど良い」とひとみさんが話すと、「香港は暑いよ」の返答も。すかさず「会場の熱気も熱いよね」と、ファンとコミュニケーションを楽しんだ。「好讚!(いいね!)」と広東語で呼びかけるシーンも。
最新のアルバムの曲をパフォーマンスし、観客は楽曲ごとに大きな歓声を送り、日本語の歌詞を口ずさむ姿もみられた。代表曲「10月無口な君を忘れる」をはじめ、「夏霞」「僕は...」アンコールで「朝凪」などを披露。アンコールの曲は3公演が異なる演出も用意したという。
「バディ」では、全員一緒に「One, two, three, four, five, six」をコールし、会場での一体感は最高潮に達した。「夏霞」では、メンバーたちもびっくりするほどの大合唱。「ちょうど10月なので、『10月無口な君を忘れる』を聞けるのは、これで悔いなし」と話す観客も。
ボーカルのひとみさんは、香港公演について「まずは、とっても楽しかった!エネルギッシュなライブになったなと思う」と振り返る。「歌っている時に、皆さんの表情を見ると本当に楽しそうに聴いてくれていたので、それがとてもうれしく、私もテンションが上がった」とも。
ギターのまーしーさんは、「とてつもない声量の歓声があって、シンガロングじゃない部分も全員で歌って会場の一体感がすごい」と香港公演を振り返る。「香港は他の公演と違って、お客さまが指を指してアピールしてくれる。お客さんの前にあおりに行くと指を指して『見てるよ』って感じでジェスチャーをくれるのは僕にとってとてもうれしいこと」と香港の観客の特徴について話す。
「初めての香港公演だったが熱量がすごく終始盛り上がってくれて楽しいライブだった」とベースのたけおさんは話し、「昔の曲はもちろん新曲のシンガロングの部分もバチバチに覚えて大きな声で歌ってくれた時は、すごくうれしかった」と振り返る。
ひとみさんは「初めての都市にもかかわらず、とても熱量高く迎え入れてくれたのが本当にうれしかった。香港のファンの方は優しくて温かい方が多い印象」と話し、「皆さんと約束をしたので、また必ず帰って来れるように頑張る」と意気込む。
現在、同バンドのユーチューブ登録者数は32万人を超え、Spotifyの月間リスナー数は73万人以上。海外での活動も活発化しており、12月には台北流行音楽中心での公演も予定している。