香港初となるロボット売店「Galbot Store」が9月1日、啓徳・紅●・灣仔の3カ所にオープンした。ロボット店長が24時間365日、多言語で顧客に対応する。
今回出店したロボット売店は、中国本土のAI企業・銀河通用(Galbot)が技術を提供したもの。同社は2023年に北京で設立され、香港政府が所有する香港投資管理有限公司(HKIC)がさらなるAI開発を目指して香港へ2024年に誘致した。エンボディドAI(Embodied AI)の開発を主軸としてAI関連の研究開発を進めている。開発した等身大ロボットは既に中国本土の50都市、約200店舗を展開してきた。
今回は本土以外で初となる店舗として、3店舗を開設。多元的な資金ネットワークや現地企業との取り組みを通じ、最先端スタートアップのグローバル進出と成長を後押しするほか、高密度な香港の都市環境を生かし、小売りやヘルスケアなど多様なシーンにおけるAIロボット技術の試験・市場展開を可能にする場としての役割を担う。
開幕式は8月31日に啓徳店で行い、香港政府の陳茂波(ポール・チャン)財政司長官らが出席した。会場ではGalbotが開発したロボットがダンスを披露し、同社の技術力をアピールしたほか、ロボット店長による接客や注文体験を行い、陳長官も購入体験を楽しんだ。陳長官は「2050年には世界で10億台のロボットが稼働し、そのうち中国が3億台を所有すると予測されている。ロボット産業が世界に旋風を巻き起こす中、香港も独自の役割を果たし、自動化・ロボット化を進めていく」と述べた。
啓徳店を置いた「啓徳體藝館(Kai Tak Arena)」は昨年3月にロボットの利用を始め、香港政府が旧啓徳空港(Kai Tak Airport)跡地で建設を進める総合スポーツゾーン「啓徳體育園(Kai Tak Sports Park)」の園内にある。紅●店がある「紅●新海濱(ウオーターフロント)」は今年3月から段階的に開放が進む旧貨物積み下ろしターミナルで、政府の観光ホットスポット開発作業チームが推進する9つの観光重点プロジェクトの一つに指定された。灣仔店がある「灣仔海濱」も近年の再開発により整備された香港島最長の海浜遊歩道の一部。いずれも再開発エリアとして、近年政府が観光やエンターテインメントに注力しているスポットに店を開いた。
真っ白な箱のような外観に、手前にガラスのショーケースを設置。奥の棚に商品を置き、客はガラス越しにロボット店長「小蓋(Xiao Gai)」の動きを観察できる。決済はWeChat Pay、Alipay、銀聯、クレジットカードに対応し、Octopus(八達通)での支払いも準備を進めている。 販売する商品はドリンク類(14香港ドル~)やスナック類、香港のミニカーの模型やローカルスナックを模ったみやげ各種(49.9香港ドル~)なども取り扱う。
近年、香港政府はAI関連の発展を加速させており、インフラなどの「供給側」の整備にとどまらず、市民や中小企業が実際にAIを活用する「需要側」の施策に取り組んでいる。沙田の科技園(サイエンスパーク)と香港島の數碼港(サイバーポート)に1000社に及ぶAI企業が集結させているほか、今年の下半期には「香港人工知能研究開発院」が正式に使用を開始する。さらに、北部都會エリアに建設予定の沙嶺數據園區(沙嶺データパーク)も建設も進んでおり、2032年までに現在の36倍に当たる18万 PFLOPSの計算能力を提供するという。
今年2月末に発表された「財政預算案」では、社会のニーズに合わせた多元的なアプローチをとり、「AI+産業」と「全民AIトレーニング」という二方向の戦略を本格始動させていく方針を示した。「AI+産業」では、推進に向けて、新たに設立された「AI+産業発展戦略委員会」を発足し、国際的な人材・スタートアップの誘致基盤を整える。初期段階として生命科学(ライフサイエンス)やエンボディドAIに焦点を当て、交通運輸・文化とクリエーティブ・持続可能な開発(サステナビリティー)など多岐にわたる分野へのAI応用戦略を研究していく。
「全民AIトレーニング」では、実現に向けて科技園や數碼港などの機関が連携し、200以上のイベントや講座を順次展開する予定。社会への普及と高齢者への支援として、一般市民や学生に事前研修を行う。単なる座学にとどまらず、実際の市場事例を題材とした 実践的なコンテストを重視し、地域社会の高齢者をサポートし、日常的なAIツールの実用的な使い方を教えるとともに、近年巧妙化する詐欺被害の防止を促す。在職者のリスキリングと業種転換を支援についても、AIの業務応用を含むスキルアップを幅広く提供し、技術革新に伴うキャリアチェンジや業務高度化をバックアップする。
●=石へんに勘。