香港政府が全額出資するデジタル拠点「サイバーポート(數碼港)」(100 Cyberport Road, Hong Kong)で8月28日、電動垂直離着陸機(eVTOL)の初の試験飛行が海浜エリアで行われた。
サイバーポートと、冠忠バスグループ傘下の「KC Smart Mobility(冠忠智慧出行)」、中国本土のeVTOLメーカー「EHang(億航智能)」が共同で進めるeVTOLプロジェクトで、初の飛行は成功裏に完了した。今回の試験は、香港政府が推進する「サンドボックスX」の実証実験の一環で、将来的な越境旅客輸送や物流ルートの基盤を築く重要な節目となる。
試験飛行では、EHangの主力機種「EH216-S」がロボットを搭載し、事前設定されたルートに沿って複数回の飛行を実施。安定性と安全性を確認し、香港の海浜環境下での運用に耐え得ることを証明した。8月30日まで一般公開デモ飛行も行い、持続的な運用シナリオ下での安全性を広く示していく予定だという。
式典に出席した黄偉綸財政司副長官は「今回の試験飛行は香港の低空経済発展における重要なマイルストーン」と強調。政府は2027年までに非伝統型航空機に関する専用法制を整備する方針を示しており、本土の第15次5カ年計画に掲げられた「低空経済の健全な発展」を香港が積極的に支援する姿勢を明らかにした。香港をアジア太平洋地域における革新的低空応用の拠点と位置づけ、国家的ニーズに応える構えだ。
サイバーポートの陳智思主席は「低空経済はデジタル経済の多様化をけん引する新産業であり、サイバーポートは規制サンドボックスの会場パートナーとして、飛行支援施設や環境整備を進めている」と述べた。既に20社以上のドローン関連企業が拠点を構えており、研究開発から商用化までを支えるエコシステム形成を加速させる考えだという。
冠忠巴士グループの黄天樂執行董事も「KC Smart Mobilityは地上の自動運転車両と低空航路を組み合わせ、陸空一体型のスマート交通を構築する」と話す。市民や観光客が、地上から直接空へ移動できる新しい3次元の交通体験を楽しめるようにし、香港を国際的なスマートモビリティー都市へ発展させる構想を語った。
EHangの趙望COOは「EH216-Sの香港初飛行は、規制サンドボックス下での技術標準と安全システムの実証であり、これまでの10万回以上の安全飛行記録を基盤に、香港の商用化を全面的に支援する」と述べた。大湾区全体の産業資源や海外運用経験を融合し、香港を先進的空の移動(AAM)の国際的ベンチマークに育てる意欲を示した。
香港政府は低空交通管理システムの設計や技術仕様の策定を進めており、商用化への道筋が整いつつある。ドローン物流、エアタクシー、低空観光、緊急救援など多様な産業が新たな成長分野として期待される。サイバーポートは通信・AIスーパーコンピューティング基盤を活用し、ドローン着陸場や充電施設、気象監視システムなどを整備。既に海上貨物輸送や建物点検、5Gライブ配信、ドローンライトショーなど多様な試験を成功させており、700回以上の離着陸データを蓄積している。
さらに、香港初の「ドローンスポーツセンター」や「低空経済応用展示ハブ」を通じて市民参加型の体験を提供し、これまでに2300人以上が来場した。低空経済の具体的な利点を広く伝え、大湾区低空経済連盟の支援組織としても積極的に関与し、国際競争力のあるエコシステム構築を目指す。