李家超(John Lee)行政長官が9月16日、施政方針演説を行った。当日は、香港で初めて導入された5カ年計画も併せて発表している。施政方針は次の1年間の方向性を表明してきたが、2026年からは5カ年計画をベースとした1年ごとの詳細版という位置づけに変化する。その上で、財政予算案で具体的に支援と実行をするという流れだ。今年の施政方針は成長と民生に力を入れた内容になっている。
施政方針では、「五大発展機遇(Five Major Development Opportunities)」として、人材、産業、企業投資、制度保障、国際協力の5つを、香港を発展させる主要な機会と捉えた。
施政方針では6つの重点措置を挙げたが、これは5カ年計画と表現は異なっているが、その趣旨や内容は同様となる。
1つ目の4つの分野と高度人材では、金融、航空運送、航空ハブ、貿易の4つを強化する。オフショア人民元業務をしやすくするほか、金の先物取引環境の整備と金保有量を増加させる。船舶のレンタル、海上保険など海運に関係する高負荷価値サービスに重心をシフトさせ、海運に関する学校を設立する。香港は持続可能な航空燃料(SAF)の生産基地を東莞に建設するが、これは世界初となる。企業間の貿易に関しての文書の電子化を進め、商務及経濟発展局長をトップとする繊維・ファッションを発展させるタスクフォースを創設する。
高度人材では人工知能(AI)が就業に与える影響の研究をする一方で、金融、医療、建築、交通などにAIを応用する。粤港澳大湾区(Guangdong-Hong Kong-Macao Greater Bay Area)にある大学の卒業生のうち非香港学生が香港で働けるようにするプログラムを2年間延長する。ドローンなどを使った「低空経済」についての行動綱領を策定する。
2つ目の国際競争力の強化は、灣仔(Wanchai)にある国際紛争を調停で解決する国際調解院(International Organization for Mediation)では、宇宙など新興産業についての調停を歓迎する。「香港国際法律事務大楼(Hong Kong International Legal Service Building)」の建設や2026年第4四半期に「香港知識産権学院(Hong Kong Intellectual Property Academy)という知財に関するアカデミーを開校する。西九龍(West Kowloon)に建設中の「西九演芸中心(WestK Performing Arts Centre)」は2027年開業予定で、4つの舞台を備える。
3つ目の大湾区は、国家の全体的な発展させるというコンセプトの主要項目の一つになるが、広東省、香港、マカオ間の異なる規則や仕組みについて整合性を取れるようにする対策チームの設立をする。循環器系創業医療センターの建設、国連工業開発機関(UNIDO)はアジア・パシフィック地域初のグローバルの先端製造技術に関するセンターを設立することになった。
4つ目の北部都会区では、北都大学城(Northern Metropolis University Town)を創設し、新田(San Tin)、洪水橋(Hung Shui Kiu)、打鼓嶺(Ta Kwu Ling)の3カ所にキャンパスを建設する。総面積は1000ヘクタールを超え、新田が旗艦キャンパスとなる。北部都会区にある金融、先端技術扱う製造、物流などの企業に対して5%の軽減税率にするという優遇措置に条例の立法化を目指し、2026年末に立法会に法案を提出する。
5つ目の福祉の向上と社会保障制度の整備や公共ガバナンスでは、今後2年間で3万人の若者を対象にした、雇用とインターンシッププログラムを創設し、イノベーション技術、建設、金融サービスなどへの就職を支援する。2026年9月16日以降に誕生した新生児の2万香港ドルの支援金は3年間延長。第2子以降への支援金は2万香港ドルから3万香港ドルに増額し、税額控除は14万香港ドルから16万香港ドルに引き上げる。両親のどちらかが永久居民である場合、出生1年前から出生後2年以内に住宅を購入した場合、最大2万香港ドルの印紙税減免を受けられる。体外受精に関するサービスについて、今後3年間で年間1900件まで拡充する。2030年までに0歳から3歳までを対象にした託児所を3カ所建設し、定員を1800人分増加させる。公営住宅は今後5年で年平均3万5000戸以上を供給し2027年の待機時間は4.5年を目標とする。
6つ目の発展と安全と公共ガバナンスでは、「AI城市大腦(AI City Brain)」と題して、AIを災害やリスク予測、建物の安全、防災など行う管理システムの研究開発を行うが、まずはワーキンググループを設置する。また、AIを使って公営住宅の管理サービスの向上と公立病院での待ち時間短縮を図る。今後5年間で老朽化して漏水の危険がある水道管計350キロ分を交換する。とくに●箕湾(Shau Kei Wan)、黄大仙(Wong Tai Sin)、葵青区(Kwai Tsing District)で行う。ビクトリアパークにあるテニスコート群を全天候型のテニスコートに改修し、テニスだけでなくコンサートなどを開くなどの機能拡張の研究を行う。観光では香港を経由して中国本土に入国する人が増えており、入国の簡易化の推進を図る。「メガイベント X 観光」と題して2月~5月を「国際芸術季(International Arts Season)」、6~9月を「中華芸術季(Chinese Arts Season)」、10月から翌年2月までを「節慶盛事季(Festive Mega Events Season)とし、1年を通じてイベントを開催することで観光客の増加を狙う。香港証券取引所(HKEx)内にリニューアル工事中の香港金融博物館(Museum of Finance)は2027年に完成する予定で、「金融のハブとしての香港をより知ってもらう」とする。
●=竹かんむりに肖