香港MTRは7月9日、東鉄線の新駅「白石角(Pak Shek Kok)駅」の建設計画を本格的に始動すると発表した。駅は2層構造で、2028年後半に着工し、2033年供用開始を目標とする。発展局が大埔区議会に提出した計画によると、先に香港政府は白石角駅の開発計画を改め、駅は当初予定されていた香港教育大学(EduHK)スポーツセンターの敷地ではなく、科学園(サイエンスパーク)や香港中文大学に近い場所に建設される。
新駅の建設が決まった場所は、もともと吐露港(旧称大埔海)の河口部に位置する自然の入り江で、長い歴史の中で鉄道や埋め立てによって大きく姿を変えてきた。埋め立てが行われる前、現在の沙田市中心部まで水域が及ぶ、より広大な内海であり、豊かな漁業資源とマングローブの生態系を有していた。1980年代に吐露港公路建設に伴い大規模な埋め立てが行われ、湿地や農地が消失。1996年以降に香港政府が科学園(サイエンスパーク)建設を決定し、さらに埋め立てが拡大。吐露港沿岸の自然環境は大きく変化した。現在は城門河と林村河などの小川が合流する河口で、香港科学園や高級住宅街が広がる地域となっている。
現在香港のイノベーション拠点として、研究施設やスタートアップ企業が集積する科学園(サイエンスパーク)では約2万人の就業者がいる。2010年代以降に高密度マンションや豪華住宅などが建設され、約2万4000人が居住している。現在、人々の通勤や生活の移動は、道路交通が基盤となっており、東鉄線大学駅から車で5分ほどだが、公共交通の接続が不十分だったことが、今回の新駅建設計画につながった。
新駅が大埔墟駅と大学駅の間に開業すれば、白石角から九龍や香港島への通勤時間は約20分短縮される見込みだ。発展局は、東鉄線の現行輸送力で増加する乗客に対応可能とし、必要に応じて列車本数を増やす方針を示した。駅と周辺地域を結ぶため、科学園と吐露港公路にまたがる歩行者用高架橋も建設される。
計画では、白石角にある教育大学スポーツセンターを大埔本校近くの敷地に移転する。現在のスポーツセンター敷地と馬鞍山の別の敷地は鉄路公司(MTR)に提供され、民間住宅開発に充てられる予定で、これが駅建設の資金調達に寄与する。教育大学スポーツセンターの移転工事は2028年下半期に始まり、2031年の完成をめざす。
開発は「駅先行・住宅後行」の方式を採用し、駅完成後に住宅開発を段階的に開始。単なる駅建設ではなく、公共施設の再編も含むため、地域住民や学生への影響を考慮した都市計画が進められ、教育大学スポーツセンターは再配置する。住宅建設は新スポーツセンターの開館後、早ければ2031年から着手する見込みで、発展局は、スポーツセンターを本校近くに移すことで教育大学の学生にとって利便性が高まると説明している。