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ザ・ペニンシュラの母体「香港上海大酒店」、創業150年を迎える

11月25日に150周年を迎えた「半島酒店(The Peninsula)」で知られる企業「香港上海大酒店」

11月25日に150周年を迎えた「半島酒店(The Peninsula)」で知られる企業「香港上海大酒店」

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 香港の最高級ホテル「半島酒店(The Peninsula)」などを経営する香港上海大酒店(Hong Kong Shanghai Hotels通称HSH)は11月25日、創業150周年を迎えた。

150周年を祝い、入り口に整列したページボーイたち

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 同社の前身となる香港大酒店(The Hong Kong Hotel)は、1866年3月2日にスコットランド人のダグラス・ラップレイク(Douglas Lapraik)などが中心となり設立。同年、中環(Central)の畢打街(Pedder Street)にあった東方酒店(Oriental Hotel)を買収したのが始まりで、2年後の1868年に6階建ての香港初の高級ホテルとして生まれ変わった。その後は経営者が数回交代し、現在のオーナーであるカドゥーリー家が関与を始めたのは1890年に25%の株を取得してから。1922年には上海にあった上海酒店(The Shanghai Hotels)を買収。1923年に現在のHSHとして改めて誕生した。

 その最初の大プロジェクトが尖沙咀でのザ・ペニンシュラ建設。現在の文化中心(Cultural Centre)に中国やヨーロッパを結ぶ駅の始発・終着駅があったこと、飛行機ではなく大型客船が主流の時代、近くのふ頭に船が停泊したことから計画が進められた。

 日本が太平洋戦争で香港を占領した際は、当時のマーク・ヤング総督がペニンシュラ336号室で降伏文書に署名。その日は1941年12月24日のクリスマスイブで「ブラッククリスマス」ともいわれ、日本統治下のペニンシュラは「東亜ホテル」に改名された。戦後は最高級ホテルとして評判を集め、現在ではバンコク、ニューヨーク、東京、パリなどにもペニンシュラのホテル網を築き、ロンドン、イスタンブール、ヤンゴンでも建設を進めている。

 地階にある「ザ・ロビー」でのアフタヌーンティーが有名で、バンドによる生演奏を聴きながらアフタヌーンティーを楽しむというのが50年以上前から変わらない特徴の一つ。ホテル業界も転職が多い香港だが、ペニンシュラは他のホテルと比べて勤続年数が長い人が多い。従業員の定着率が高いため家族2世代で働いているというホテルマンもいる。

 30階建てのタワーを含んだ現在の姿になったのは1994年で、香港の中国への返還3年前のこと。タワー建設ではオフィスを設け、宿泊客の増減を気にせずに安定した収入を得ることもできるようになった。ページボーイはアジアで最初に導入した。

 HSHはそのほか、ピークトラムや浅水湾(Repulse Bay)にあるレストランや高級マンションが入る「浅水湾影湾園(The Repulse Bay)」の運営、米国ではゴルフ場の運営なども行っている。2015年の売り上げは前年比2%減の57億4,100万香港ドル、営業利益は同8%減の10億1,400万ドルだった。オーナーのカドゥーリー家は中華電力(CLP)の経営者でもあり、香港で最も成功した中華系以外のルーツを持つファミリーといえる。

 創業150周年当日の25日は、入り口付近に8個の大型気球を設置し、祝賀パーティー出席者だけでなく沿道を歩く人を驚かせた。気球のテーマはピークトラムの車両、ヘリコプター、ペニンシュラグリーのロールスロイスなどで、2年半かけて企画したという。これらの気球は世界にあるペニンシュラホテルを巡回する予定。

 同ホテルでは今後、香港社会への還元として、お年寄りへの支援などコミュニティー活動に力を入れることを表明している。

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