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香港で漆芸作品展覧会 漆器に宿る日本の美意識を海外で伝える

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香港大学美術博物館に並ぶ漆芸作品

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 日本の歴史や文化を映し出す漆芸作品を展示する展覧会「若宮隆志的藝術:當代日本漆藝」が3月18日、香港大学美術博物館で始まった。

挨拶でも作品に込めた思いを伝える若宮さん

 石川県輪島市出身の漆芸家・若宮隆志さんは、漆に携わる仕事を始めて30年。漆芸集団「彦十蒔絵」を主宰し、30人の職人を率いる。同展には、15年前から作り続けたものから展示4日前まで丹念に仕上げを施した器、茶わんをはじめ、玉虫厨子(たまむしのずし)を見立てて制作した置物、ハローキティの根付けなど、個性豊かな漆芸作品を出展する。

 現在、日本国内で使用される漆の99%は主に中国製に頼らざるを得ない状況がある中、若宮さんは自分で漆の木を植え、15年かけてわずか150ccしか採取できない「漆かき」にも力を注ぎ、毎年少しずつ漆の木を植えているという。

 若宮さんは一つひとつの作品に対して、作品が歴史に込められた意味や、自然によって人間が生かされているというメッセージなど、形状はさまざまでも一貫した信念を持つ。「15年かけて作った漆なので、自分が作りたいもので、周りが笑顔になる漆器を作ろう」と心掛けているという。くしや玉虫厨子にも、「物を本来のあるべき姿ではなく、別の物として見る」という「見立て」を意識。幼いころに感じた田舎の風景も交えながら、独特の光沢感を持つ見た目の美しさだけでなく、見えないところにこだわる。

 日本を代表する技の一つとして、漆器を世界へ広めようと香港大学に若宮さんが訪問したのが2013年。1年半の時を経て、開催の決定までこぎ着けたという。「作家になりたい人は増えているかもしれないが、職人になりたい人は減っている」と話す若宮さん。「市場の原理で経済に押されることはやむを得ないが、職人が安心して仕事に打ち込むことができる環境を用意するのが今の自分の役目」と続ける。「おわんや重箱が売れないと嘆くのでなく、この技術を絶やさぬために、アイデアを出し作品を披露する機会を自ら作り出していくことが大切」とも。

 「世界中の一流の美術館で評価される漆器はその昔、職人が魂を込めて作ったものであり、お金で動く経済の中で生み出すことは難しい。明治時代は公が個人にあり、一つのものに一生懸命力を注ぎ込むという価値観があったが、高度経済成長期は大量生産できることが良いとされ、まさに今、真価が問われる勝負の時にある」と若宮さん。日本のものというだけでもてはやされる状況があることについては、「魂が抜けた簡単に作ったものは後々海外の人にも通用しなくなる」と警鐘を鳴らす。

 開館時間は9時30分~18時(日曜は13時~)。祝祭日・大学祝日は休館。入場無料。3月19日11時から若宮さんのトークショー、同19日・20日はワークショップ(100香港ドル)を開く。6月19日まで。

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