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香港でモネの作品を無料展示 庭園文化をテーマに、葛飾北斎も

シカゴ美術館所蔵のモネの「睡蓮の池」

シカゴ美術館所蔵のモネの「睡蓮の池」

 香港の尖沙咀のビクトリアハーバー沿いにある「香港藝術館(HKMoA)」(10 Salisbury Road Tsim Sha Tsui, Kowloon, Hong Kong)2階のThe Special Galleryで現在、庭園文化をテーマにした展示「Blooming: The Art of Gardens in East and West」が開催されている。康楽及文化事務署主催の同展は、北京故宮博物院とシカゴ美術館の協力を得て、庭園文化をテーマにした大規模展覧となる。中国と西洋の庭園をテーマに、芸術家や職人による庭園のビジョンや解釈を通じて、優雅さや調和、動きのある美を体験できる旅へと観客を誘う。「来館者が自分自身の新しい視点や概念を見いだすこと」が目的だという。

葛飾北斎の作品も

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 展示するのは、北京故宮博物院、シカゴ美術館、ベルサイユ宮殿、香港藝術館から選ばれた絵画や工芸品106点。庭園造園の美学、庭園での活動、庭園文化に着想を得た芸術作品の鑑賞という3つのテーマで構成する。清朝乾隆帝やフランス国王ルイ14世の壮麗な庭園世界をはじめ、クロード・モネ、張大千、文徴明ら巨匠が描いたロマンチックな庭園作品も紹介し、庭園の多様な美と文化的意義を探る。

 庭園は古来より「理想郷」として、人が本当の自分を見いだす場所だった。そこは単なる余暇の場ではなく、精神的な力の聖域であり、理想的な文明の比喩でもあった。その壮麗さ、豊かさ、静けさの中に、人々が理想を追い求める姿が映し出されている 。

 中国と西洋の庭園は数千年にわたり設計や様式に違いがあったものの、美や天と人との調和を願う心は共通していた。庭園は建築や幾何学の原理を取り入れ、ルネサンス期の対称的な軸線から、自由で途切れない調和のデザイン、時間の動きを映すダイナミックな構成へと展開している。

 晩年に至るまで「睡蓮」の連作は描き続けられ、印象派を代表する名作となっているが、今回、クロード・モネの睡蓮関連の作品は2点を展示する。

 1900年のシカゴ美術館所蔵の作品「睡蓮の池」 は、フランスの庭園から着想を得て、色彩の調和を追求したもの。補色の組み合わせや水面の反射を巧みに用いることで、画面全体に調和と静けさを生み出す。 この作品は、モネが繰り返し描いたジベルニーの庭園の一部であり、彼の「睡蓮」シリーズの重要な一枚を並べた。水面に映る光と影の表現は、浮世絵師・歌川広重の「亀戸天神境内」(「名所江戸百景」1856年)からも影響を受けているとされ、モネの光と影の理解を深める契機となった作品といわれている。ジベルニーの庭園に架けられた木橋を描き、緑豊かな木々と池に浮かぶスイレンが、印象派特有の筆触で表現されている。

 1906年の作品「睡蓮」もシカゴ美術館の所蔵で、モネは花園を鑑賞する中で日本美術からも着想を得ていることも分かる作品。従来の西洋的な風景画の定義を超えて、空間と色彩を重視した。その結果、「見る者を深く引き込み、没入させる」という。 「この作品は、モネが庭園を単なる自然描写ではなく、光と色の探究の場として扱ったことを示す代表例であり、日本美術との対話を通じて、その絵画はより詩的で、見る者を包み込むような世界を生み出すことになった」とも。

 さらに、フランスの画家Albert Andre(アルバート・アンドレ)が描いた1895年の作品「クロード・モネの肖像」も並べる。シカゴ美術館所蔵の同作品は、同じ印象派の仲間であり友人でもあったクロード・モネを描き、白い長いひげをたくわえ、庭園の緑と花々に囲まれたモネの姿を描いている。

 展示のハイライト作品には、明代「呉派四大家」の一人・文徴明による「蘭亭修禊図」が含まれている。さらに、清代の皇帝庭園の壮麗さを示す「避暑山荘図」は、伝統的な青緑山水の技法に西洋の遠近法を融合させた。香港藝術館所蔵の張大千「八徳園入口」「●彩山水」も展示し、葛飾北斎の作品もある。

 来場者の快適な鑑賞環境を確保するため、混雑時には柔軟な入場制限を実施し、必要に応じて時間指定入場券を導入する。

 開館時間は10時~18時(土曜・日曜・祝日は21時まで)。木曜休館(祝日は開館)。入館無料。7月29日まで。

 ●=さんずいに發。

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