香港コンベンション&エキシビションセンターで7月16日、夏の本の祭典「香港書展(Hong Kong Book Fair)」が始まった。今年で25回目となる同展。世界31カ国から571の出展社が参加し、会期中は300の文化イベントが繰り広げられる。日本からはハローキティの3代目デザイナーで、1980年以来キティを描き続けるサンリオの山口裕子さんが16日講演し、流行も取り入れたキティちゃんの変遷を語った。
18日14時からは「小さいおうち」で知られる直木賞作家中島京子さんの講演も同会場(S224-225)で予定されている。
会場には、香港の出版社や書店をはじめ、世界各国をテーマとしたブースが並び、旬でテーマ性のある書籍はもちろんのこと、旅行・教育関連のテキスト、香港人の母国語である繁体字の中国語書籍、公用語である英語の教材、漫画、雑誌など多種多様な書籍がめじろ押しで、文房具、キャリーバックなどの関連商品も並ぶ。
書店なども手掛ける大手出版社「商務印書館」傘下の香港教育図書公司マーケティングマネジャーの黄可恒さんは「今回も教科書やテキストなど教育関連のアイテムでも前回比3~5%の売り上げの伸びを予想している。毎年同エキスポで年間の売り上げの約1割を稼ぐ」と話す。
販売ブースのほぼすべてが割引を設定し、1冊当たり2割~3割引き、5冊以上で4割引き、10冊買えば1冊が無料になる割引ブースも点在。会場にトランクや大きな袋を持ち込む市民の姿も多く見られた。
今年は初の日本パビリオンも設置され、新潟市や和歌山県などにゆかりのある作家、漫画家の作品が並べられた。赤塚不二夫さん、水島新司さん、高橋留美子さんなど多くの漫画家を育んできた新潟市は「日本アニメ・マンガ専門学校」と共にブースを構え、作品を紹介。現在も10人の外国人学生が学ぶ同校に興味を示す来場者の姿も見られた。
同校の内田正行さんは「香港やそのほかのアジアの国々に向けた同校のアプローチと同時に、日本に埋もれる才能ある作家の作品が国内にとどまらず広く世界に出ていき、海外で勝負できるように支援するという意味もある」と出展の理由を明かす。
3階の会場では昨年同様子ども向けの絵本をはじめ、教育関連のアイテムも並び、22時を過ぎても多くの子どもが会場を駆け巡っている。会場を訪れた子連れのエミリーさんは「毎年新しいアイテムが紹介されるし、これだけのアイテムがそろう場所はない。昨年同様、予算は4000香港ドル程度用意した」と話していた。
入場料は、大人=25ドル、子ども=10ドル(3歳以下無料)。講演会は一部無料。期間中の来場者は90万人以上を見込む。
開催時間は10時~22時(18日・19日は深夜12時近くまで。最終日22日は9時~17時)。今月23日まで。