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香港、平均寿命は男女共に世界一を維持 市民の健康実態も明らかに

喫煙は外でが基本の香港

喫煙は外でが基本の香港

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 厚生労働省は7月27日、2016年の簡易生命表を発表し、香港男性は前年比で0.08歳増の81.32歳、女性は同0.02歳増の87.34歳で、共に前年に続き世界一の長寿地域となった。

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 同省は香港が世界一になった理由については言及していない。ただし、香港政府統計処は同じ7月27日に「香港的女性及男性主要統計数字」を発表している。それによると過去30年間、香港の人口は33%増加したが、65歳以上を占める割合は3倍と高齢化が進んだ。一方で高齢者の70歳以上の死亡率は低下していると述べている。

 香港人の死亡原因のトップ3はガン、肺炎、心臓病だった。死亡率トップのガンでみると日本の男性の場合、肺がん、胃がん、大腸がん、女性が肺がん、大腸がん、胃がんの順だが、香港は男性の場合1位が肺と気管、2位は結腸、直腸と肛門、3位に胃で、女性でみるとトップが肺と気管、続いて結腸、直腸と肛門、3位に乳房となり、日本とは少し異なるタイプのがんである事が分かった。毎日喫煙する人は2015年の時点で人口の約1割に当たる64万1300人で、喫煙率が高い男性は肺がんによる死亡率も女性より高めとしている。世代別では男性の場合は71.3%の喫煙者が40歳以上、女性は30~49歳の喫煙率が最も高く57.5%に上った。

 死因の2番目に肺炎が来る点も日本とは異なる。高齢になってからの肺炎の死亡率はどこの国でも高いが、1位になった肺がんを含め、そもそも大気汚染の影響が肺炎を誘発しやすい遠因ではないかと推測される。

 成人病の原因の一つである肥満。それを表すBMIで見ると、男性のアンダーウエイトは、2007年が4.8%だったが2016年は5.2%、ノーマルが39.0%から44.9%に増加した。逆にオーバーウエイトが21.0%から20.2%、肥満が29.3%から28%減少したことから、全体的に見れば以前より健康的であると読み取れる。一方、女性はアンダーウエイトが15.1%から11.6%、ノーマルが51.3%から55.3%、オーバーウエイトが13.2%から16.3%、肥満が14.8%から14.2%で、痩せている人が減ってノーマルになった人が増えたが、その一方で肥満の数字はそれほど変わらないがオーバーウエイトが大きく伸びた。女性全体として体重が増加傾向にある事がこの数字からうかがえる。

 2014年現在5万3900人が骨粗しょう症にかかっており、うち83.6%が女性だった。慢性疾患は204万1000人に上り、52.5%が女性で、この2つは女性の割合が高かった。エイズを引き起こすヒト免疫不全ウィルス(HIV)に感染している人は2010年の2.6%から2016年は6.2%に増加。患者のうち政府系の病院で治療している人は男性が98.8%、女性が98.4%となっている。

 体に障害を抱えている人の数(=知的障害者は除く)も明らかにしており、2007年は36万1300人だったが2013年は57万8600人と6割近く増加した。 

 病院にかかった人は、政府系の病院では2011年は68万2216人だったが2015年は74万696人に増加。私立病院では同39万9687人から38万1690人とわずかに減少した。合算すると香港の人口の延べ約1割が何らかの理由で病院にかかっていたという事が分かる。

 日本人男性の平均寿命は同0.23歳増の80.98歳、女性は同0.15歳増の87.14歳と過去最高を更新したが、世界順位は、男性が世界4位から2位へ、女性は2位のままだった。厚労省は「がん、心疾患、脳血管疾患および肺炎による死因の死亡率低下が、寿命の伸びに寄与した」と分析している。

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