食べる

尖沙咀のローストグース「裕・鵝莊」に新メニュー 老舗「深井裕記大飯店」60周年祝う

ローストグースを使った新メニューも紹介

ローストグースを使った新メニューも紹介

  • 40

  •  

 尖沙咀・亞士厘道にあるローストグース店「Goose Manor 裕・鵝莊」(No.29, Shop C, G/F, Kowloon Center, 39 Ashley Rd, Tsim Sha Tsui TEL 2387 1133)が6月15日、新メニューの提供をスタートした。これは1958年に創業した同ブランドの本店深井の「裕記大飯店(Yue Kee Roast Goose Restaurant)」が60周年を迎えたことを祝い企画したもので、「深井の地域性や伝統の味、同じローストグースの精神を使いながらも都市らしくモダンな雰囲気で広東料理を提供する」という。

清潔感ありながらも焼味ならではのローカル感も強い亞士厘道の路面店

[広告]

 広州の北、清遠という街の高級とされるガチョウ「黒棕鵝」を使い、香りと味の両方を追求しているという同店。ほかにも地元の新鮮な食材や海外の高級食材を手に入れ、本店とも違う味や体験を狙う。本店は、炭火バーベキュースタイルで焼き上げているが、尖沙咀ではむしろ余分な脂を取り除いて、外はパリパリに、中身はよりジューシーに仕上げるため、強火のガスで焼いていることも特徴の一つ。ローストグース「深井焼鵝」は1羽600香港ドル、半羽300香港ドル、例牌と呼ばれる4分の一羽を160香港ドルで提供してきた。

 今回、同店では新しいメニューで「広東料理の幅広さやおいしさ」を紹介する。ライチの木でローストしたガチョウ、塩漬け卵黄で炒めたエビ、アワビのリゾットなどもメニューに並べた。

 新メニューの一つ、香港の伝統的な広東料理である黄金色のエビのフライ「秘製黄金蝦球」は、市場に出回っているエビよりも大きいベトナム産のエビを使う。殻をむき、揚げたエビを、自家製の塩漬け卵黄バターソースと絡めて提供する。

 刻んだイカに自家製のエビペーストを混ぜ合わせ、これをイカの中に詰め込み、衣を付けて黄金色に揚げ、新鮮さとうま味を融合した「椒鹽鮮●釀蝦膠」は、「複雑な過程を重ねることで深みのある食感を生み出している」という。刻んだニンニク、ネギ、唐辛子を使って調理するなど伝統的な作り方をするが、五香粉、塩、こしょうを加えて炒め、味を調える。

 アワビのリゾット「鮑魚●飯」には、日本産のアワビを2つ入れた。アワビを2~3日漬け込んだ後、豚の骨、ハム、ブイヨンを加えて柔らかくなるまで煮込み、モチモチとした食感と豊かな風味を引き出す。アワビを浸しただし汁は、エビやシイタケを加えた米を煮込むときにも使う。

 卵チャーハンをベースに、マッシュルーム、さいの目に切った野菜、ガチョウの肉、エビ、ガチョウの油を香りが出るまで混ぜ合わせた「鵝油福建炒飯」は、「トロリとした肉汁が味を締め、広東料理の定番料理により磨きをかけている」という。

 かつて深井の本店隣にサンミゲル醸造所があったことから始まったローストグースとビールの組み合わせは、深井では地元の定番料理となっている。冷えたビールと焼きたてのガチョウの組み合わせは、この地域の伝統として知られており、地元の人々はレストランで長年にわたり飲み比べをしてきた。同店では「青島」はもちろん、香港ローカルの「少爺●」、茨城の常陸野ネストビールなど、クラフトビールなども用意する。

 ビールの他にも最近では広東料理とワインとのペアリングも注目されているため、ローストグースとワインペアリング(198香港ドル)も用意した。同店の「脂身がなく皮がパリッとしていて、味がよく染み込んでいる」ローストグースには、フランスの「Chateau de la Baume(ドメーヌ・ド・ラ・ボーム)」やブルガリアの「Petit Enira(プティ エニーラ)」など、酸味が強く、フルーティーで香り高く、深みのあるワインを合わせる。

 「時代の変化に伴い、若い世代は場所や食事の経験、料理の質を重視していることに気付いた。そこで、有名なローストグースを深井だけでなく、尖沙咀の中心地でも提供したかった」と創業者の一人の3代目の呉國瀚さんはこの3年を振り返る。「私たちのチームは常に新しい食材と革新を求め、料理のプレゼンテーションにも力を入れている。味覚と視覚の両方を満足させたい」と続ける。

 営業時間は11時~22時。

 ●=魚へんに尤、●=火へんに會、●=口へんに卑。

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース