今年の中秋の名月＝中秋節（Mid-Autumn Festival）を前に、中秋節に欠かせない「月餅商戦」が始まった。定番で人気を集めるザ・ペニンシュラ香港（半島酒店）の月餅も既に申し込みを開始した。各店とも今年も、趣向を凝らした月餅をラインアップに加えている。

パッケージデザインにこだわったハイアット・セントリックの月餅

　中秋節は元々、豊作を願う祭り事。親族が集まって一家団らんを楽しみながら、丸い月を眺めながら月餅を食べる。外ではランタンを持って歩く家族連れがいたり、大坑（Tai Hang）で開催される火龍舞（Fire Dragon Dance）を見に行ったりする市民もいる。今年の中秋節は9月17日。

　月餅は、外皮に餡（あん）を詰め、型押しをして200度以上のオーブンで焼き上げた定番のものから、アイスクリームタイプ、パイ生地などさまざまで、味も、しょっぱさと甘さが一緒になった伝統的な味から、カスタード、チーズヨーグルトなど年を追うごとに種類が増えている。

　ペニンシュラ内にある中華料理店「嘉麟樓（Spring Moon）」が1986年に販売を始めた「迷●●黄月餅（Mini Egg Custard Mooncakes）」が、その後のバラエティーに富んだ月餅のターニングポイントになった。それまでの黄身は塩漬けだったが、カスタードに変え、伝統的な大きな月餅を食べきれるようサイズを小さくした。今年の新商品は、ナッツ入り（6個入り448香港ドル）、カスタード味（4個入り268香港ドル）、チョコレート味（4個298香港ドル）のほか、シャンパン、月餅（8個）、クッキー、XO醤（じゃん）チリソース（1本）などが入った詰め合わせセット（3,988香港ドル）などを販売している。

　アイランド・シャングリ・ラでは、中華料理店「夏宮（Summer Palace）」がドリアンを使った月餅（6個408香港ドル）を商品化。「独特の匂いを消しつつも滑らかな味わいに仕上げた」という。カスタード、チョコレート、パイナップル味の詰め合わせ（12個658香港ドル）、シャンパンも入った詰め合わせ（9,999香港ドル）も用意する。

　尖沙咀（Tsim Sha Tsui）にある「ローズウッド」では、ハスの餡と卵黄の伝統的な味（4個508香港ドル）、カスタードにジャスミンティー味（6個498香港ドル）を販売する。一方、北角（North Point）にあるハイアット・セントリック・ビクトリア・ハーバーでは、カスタード味（4個238香港ドル）のみだが、香港のアーティスト、皮忠さんがデザインした月餅専用ボックスで差別化を図る。月に見立てた月餅が春秧街（ChunYing Street）を走るトラムと道沿いに飾られているランタンを照らし出しているデザインに仕上げた。

　旺角（Mong Kok）にある5つ星ホテル「ザ・ランガム」は奇をてらわず、ハスの餡と卵黄（4個468香港ドル）とカスタード（6個428香港ドル）の2種類の商品構成とした。

　老舗ベーカリー「奇華（Kee Wah Bakery）」は、ディズニーとコラボした月餅を販売。モンスターズインクのデザインを施したランタンの中に抹茶、ストロベリーなど4種類の味がする月餅が入った商品（328香港ドル）。ハスの餡と卵黄（4個132香港ドル、8個258香港ドル）に加え、低糖のハスの餡と卵黄（8個268香港ドル）も。カスタード味（8個275香港ドル）、カスタードとチョコレート味（4つずつ計8個275香港ドル）も用意した。

　中華料理「利苑（Lei Garden）」では、月餅の商品券を販売する形を取る。月餅の商品券を受け取った人が店頭で月餅と交換する。ハスの餡と卵黄（4個368香港ドル）、小豆（8個378香港ドル）、カスタード味（8個368香港ドル）など。店頭での引き換えではなく配達付きの商品券も販売するほか、900香港ドル以上で配達無料になる商品券もある。

　　迷●＝にんべんに尓、●黄＝女へんに乃