韓国の「アンジュ(Anju)」と呼ばれる食文化に焦点を当てた韓国ダイニング「YuSang(ユサン)」(Shop 105ー109, 1/F, Prince’s Building, 10 Chater Road, Central TEL 9235 3527)が8月7日、中環のプリンスビルディングにオープンした。
最近では日本以上に韓国企業の香港進出も多く、また同時に韓国料理が広く浸透した香港において、焼き肉、チゲ、フライドチキンなどのこれまでの定番カテゴリーとは異なり、韓国にもある「飲みながら食べる文化」を紹介する店として展開する。
韓国の食文化の中でも、酒と共に楽しむおつまみとしてのアンジュに焦点を当て、「ソル(Sool=韓国酒)」の関係性を中心に据えた。店名の「YuSang」は、水路に杯を流し、杯が自分の前に来るまでに詩を詠むという遊びで、詠めなければ杯を飲み干すという東アジアの伝統的な酒遊び「流觴曲水(りゅうしょうきょくすい)」に由来する。
韓国では、酒と共に楽しむ料理を総称してアンジュと呼ぶ。単なる「おつまみ」ではなく、冷菜、キムチ、揚げ物、炭火焼き、スープ、海鮮、肉料理など幅広いカテゴリーが含まれ、酒の種類や飲むペースに合わせて料理を選ぶ。同店では、このアジュ文化を現代的に再構築し、客が飲む酒に合わせて自由に料理を選べるスタイルを採用した。
店内で仕込む発酵調味料「ジャン(醤)」も特徴の一つ。代表的な前菜として紹介する白キムチとキュウリの前菜(Clear White Kimchi Cucumber)(122香港ドル)は、辛みを抑えた白キムチを使い、1週間熟成させた野菜と2日間発酵させたキムチスープを合わせた。香港のサステナブル農家の野菜を使い、酸味と食感を特徴とし、熟成度の異なる野菜を組み合わせている。
ユッケのモダンアレンジ(Yukhwe)(225香港ドル)は、豪州産和牛のテンダーロインを手切りし、黒トリュフを合わせた一品。伝統的なゴマ油の代わりに、香り高いエゴマオイルのクリームチーズを使い、「滑らかな食感を引き出した」という。ウズラの卵や梨、松の実などを合わせ、のりと米のクリスプにのせて提供する。
韓国のエゴマ葉とバジルで作る緑色のペーストの上にブラータを丸ごとのせ、テーブルで切り分けるブッラータ(Perilla Burrata)(168香港ドル)は、オリーブオイルで2日間マリネしたチェリートマトとキュウリを添えた。ブラータの濃厚なクリームがペーストと混ざり合い、香り豊かな味わいに仕上がる。
ジューシーに仕上げた鶏もも肉を揚げ、エゴマクリームチーズとキャビアをトッピングしたフライドチキン(YuSang Fried Chicken)(450香港ドル)はサクサクとした食感と濃厚なうまみが特徴で、韓国酒との相性も良い。
ウニとキャビアのキンパ(Sea Urchin Roe Kimbap)(280香港ドル)は、アワビの肝と韓国しょうゆで炊いた米を使い、マグロとエゴマ葉を巻いたキンパで、白キムチの食感に日本産ウニの甘みを重ねた。米そのものに強いうまみを持たせている点が特徴だという。
約20時間の低温調理で柔らかく仕上げた骨付き牛リブを、ポメロで蒸して香りを加え、備長炭で仕上げた牛リブの炭火焼き(Grilled Beef Ribs)(520香港ドル)は、韓国青唐辛子やポテトピューレなどを組み合わせた「ビーフジュ」と呼ぶ肉のソースと共に提供する。
同店では、韓国酒を「食事の一部」として位置づけ、ソジュ、マッコリ、果実酒を中心に、韓国から輸入した銘柄をそろえた。特に、店内で仕込む「ハウス・マッコリ」は、米の香りを生かし、軽い発泡感とクリーミーな口当たりを特徴とし、オリジナル、ハニー、ユズなど複数のフレーバーを用意した。韓国の高興(コフン)産ユズを使った「Goheung Yuja Wine」など、香港では珍しい銘柄も並べる。
同店が入居するプリンスビルは中環のオフィス街の中心にあり、ランチタイムにはビジネス客も見込めることから、アジュと炭火焼きのメイン、ドリンクを組み合わせたランチセットも展開する。夕方以降は、アンジュと韓国酒を中心としたよりゆったりしたスタイルに切り替え、昼夜で異なる利用シーンを想定している。
営業時間は、ランチ=11時30分~16時15分、ディナー=17時15分~22時。