香港でも人気があるアーユルべェーダ食材やスパイスを使うインド料理店「Spice Bazaar」（4／F, 10 Prat Avenue, Tsim Sha Tsui、TEL 3422 8588）が 2月21日、尖沙咀の寶勒巷にオープンした。

ドバイ王室のロイヤルシェフを務めた経験も持つ、バルラム・ヤーダヴシェフ

　同店はレストラン運営のイムラン・カリール（Imran Khaleel）さんと料理を担当するバルラム・ヤーダヴ（Balram Yadav）シェフのパートナーシップで経営し、共同オーナーとして店舗を運営する。

　イムランさんはアメリカのリッツカールトンでキャリアをスタートさせた後、イギリスとアラブ首長国連邦のハッカサングループでリーダーシップを発揮し、高級レストランを監督してきたという。2012年、Zuma香港の副総支配人として香港に拠点を移し、レストランの運営管理に携わってきた。

　調理の指揮を執るバルラム・ヤーダヴ（Balram Yadav）シェフは、国際的な高級ホテル、ミシュランの星付きレストラン、高級インド料理店などで30年以上の経験を積んできた。18年前に香港に移り住むまでの4年間、ドバイ王室のロイヤルシェフを務めている。以来、香港のインドダイニングシーンの形成に貢献し、Jashan、New Punjab Club、Chutney Modern Indianなど代表的なレストランにも貢献してきた。最近ではLEELA香港の副料理長を務めていた。

　エントランスには芸術的な要素も採り入れた。壁画は南インドの収穫祭であるサンクラーンティに敬意を表したもの。ダイニングルームはカフェにインスパイアされたインテリアでまとめ、昼間は自然光が差し込み、夜は金色のペンダント照明で落ち着いた雰囲気に仕上げた。30席を用意する。蜂蜜色の木材パネル、鏡も組み合わせたパステルカラーの壁、ターコイズブルーの革張りの椅子、大理石のテーブルトップで「高級感」を演出する。4月には、20席の屋外テラスも設ける予定で、現在改装中のテラス席は、タンドールバーベキュー料理やドリンクを楽しむことができるようにする。

　ヤーダヴシェフによると、「家庭の台所にゲストを招いたような雰囲気」を作り出し、地域の特産品や伝統的な調理法にスポットを当て、そこにシェフの「個人的なタッチを加えた」という。タンドール・バーベキューから、カレー、手作りの特製料理に加え、インドで一般的なチーズ「パニール」や調味料など、その多くを一から自家製で作ることにこだわっている。

　前菜はインドのストリートフード文化に影響を受けたもので、ダヒ・プリ（Dahi Puri）からサモサチャート（Samosa Chaat、同88香港ドル）などを一口サイズで提供するほか、ペルシャ商人が13世紀にインドに持ち込んだ人気のスナック「Irani Samosa（イラニ・サモサ）」（88香港ドル）は、薄い小麦で作った外側の皮に、ジャガイモの詰め物の代わりに、スパイスを効かせたタマネギベースの詰め物をすることで、サクサクとした食感のサモサに、タマネギのほのかな甘みが加わる。

　柔らかく骨抜きにした地鶏を2度調理し、ハーブでマリネした後、揚げた南インドの定番料理「Hyderabadi Chicken 65（ハイデラバディ・チキン）」（108香港ドル）は、唐辛子、カレーリーフ、ニンニクをブレンドした香ばしいソースで味付けした。

　「Keema Anda Pav（キーマ・アンダ・パヴ）」（128香港ドル）はスパイスでじっくり煮込んだニュージーランド産のラムひき肉に、おろしたてのゆで卵をのせ、バターでトーストしたソフトバンズを添える。

　カレーは10種類以上あり、看板メニュー「Palak Paneer（パラックパニール）」（108香港ドル）は、自家製パニールを、タマネギとスパイスを加えたホウレンソウのピューレで煮込んだもの。ほかに、「Dal Bukhara（ダル・ブカラ）」（98香港ドル）は、ブラックガラムマサラ、トマト、ショウガ、ニンニクを使い、14時間じっくり煮込んだ濃厚でクリーミーな黒レンズ豆料理である。ヤーダヴシェフは「伝統的なタンドール窯で調理された肉や魚介類のほか、自家製パニールなどが並ぶ。炙（あぶ）った肉と柔らかい野菜を、スモーキーを残して仕上げるには温度管理が欠かせない」と言う。

　営業時間は、ランチ＝12時～15時、ディナー＝18時～23時30分。