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日本政府による香港からの旅客便に制限と修正で混乱 香港政府は入境時PCR・ワクチンパスなど廃止

香港からの入国について一部制限がでたり、翌日修正が入ったりと混乱した香港

香港からの入国について一部制限がでたり、翌日修正が入ったりと混乱した香港

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 日本政府は12月27日、中国本土からの渡航者について今月30日より水際対策を強化することを発表したが、その中に中国からの直行便は成田国際空港、羽田空港、関西国際空港、中部国際空港の4つに限定するとし、そこに香港とマカオが加わった。しかし、29日になると、香港から新千歳、福岡、那覇3空港に到着する直行便については、搭乗前7日以内に中国本土へ滞在した乗客がいないことを条件に、受け入れを認めると修正。香港人客は混乱に陥った。一方、香港政府は12月28日、「疫苗通行證(Vaccine pass)/ワクチンパス」や海外からの渡航者が入境時に課していた2回のPCR検査も廃止すると発表。翌29日より適用する。

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 香港は29日現在、検査による陽性反応を示した人は256万8596人、最終確定した累計感染者は50万8725人、死亡者は62人となっている。新規感染者は2万4895人、うち1117人は海外からの輸入症例。一方、ワクチン接種者については、1回目が690万7971人(94.6%)、2回目を終えた人は678万6768人(93%)、3回目も終えた人は579万3726人(83.2%)、4回目が78万9104回となっている。

 日本政府は、中国本土での新型コロナが感染爆発をしていることを踏まえ、中国からの渡航者と7日以内の渡航歴がある人を対象に、新型コロナの3回目ワクチン接種証明か出国前72時間以内の陰性証明を求めてきたが、入国時検査も義務付け、陽性だった場合は7日間の隔離を行い、変異株があるかどうかを確認するためゲノム解析を行う。

 さらに、中国からの旅客機が離発着できる空港を、成田、羽田、関空、セントレアの4カ所に限定し、航空会社に対し増便しないように求めた。その中に香港とマカオが加わった。これは、香港と中国本土との往来が隔離なしでできるようになった後、香港経由で中国本土から観光客が増加するのを防ぐ懸念しての措置だ。

 中国本土からの場合は、この4空港以外からの直行便はなかったが、香港からの直行便は4空港のほかに新千歳、福岡、那覇に直行便が就航していた。日本で10月から隔離なしでの往来が始まったこともあり観光客が増加している最中での措置となった。この急展開の影響を受け、北海道行きのツアーなどを予約していた香港人は大きな影響を受けた。既に来日し、4空港以外から香港に戻る予定の香港人が戻れない事態に陥った。年末年始で公共交通機関は既に予約でいっぱいで、東京、大阪への移動すら困難を極めている状況もある。日本政府と香港政府は協議を行った結果、香港に戻るための特別便を就航させることで合意した。香港航空は12月30日~1月1日と1月4日の4便を新千歳に、12月30日~1月3日の5便を那覇に向けて飛行機を飛ばし、香港に戻るための支援を行うことになった。

 ところが29日、日本政府は香港から新千歳、福岡、那覇3空港に到着する直行便について、搭乗前7日以内に中国本土へ滞在した乗客がいないことを条件に、受け入れを認めると発表した。滞在歴は航空会社がチェックインする時に確認する。これにより、北海道や沖縄で観光を楽しみたい香港人は従来予定していたフライトで旅行することを許され、安堵の声とともにすでにキャンセルをしてしまった人たちからの落胆の声も聞かれた。

 これに伴い、キャセイパシフィック航空は今後について次のように発表した。「香港から日本」については、日本政府からの追加の通知があるまで、香港-名古屋便および、香港-福岡便は欠航。香港-札幌便は週7便から週5便に減便し、香港-成田便(CX500)と香港-大阪便(CX502)は特定の日付で欠航する。一方、「日本から香港」へは、 30 日から2023年 1 月 8 日までは、すべての定期便を計画どおりに運航する。1 月 9 日からは、日本政府からの追加の通知があるまで、名古屋-香港便は全便欠航する。札幌-香港便は週 7 便から 5 便、福岡-香港便、成田-香港便(CX501)と大阪-香港便(CX503)は特定の日付で運休する。

 香港エクスプレス航空は12月29日から2023年1月13日まではこれまで通りの運行する。日本政府からのフライト制限の要請を踏まえて、1月14日から1月31日までは、福岡、関空、那覇、羽田、成田、セントレアで合計60便のフライトを予定していたが、41便が運休となる。 

 日本政府が3空港を再び認めた理由として、現在、香港と中国本土を行き来するには、依然として隔離措置が必要であるため、ほとんど往来がないという事実があるためだ。今後のフライトは日本政府の判断しだいだが、重要と供給のバランスが再び崩れたため、航空券の高騰が続く可能性が出てきた。

 香港の防疫対策でも再び大きな動きがあった。香港政府は12月28日、高いワクチン接種率やハイブリッド免疫を持つ香港人が増えたこと、医療体制も十分として防疫措置の更なる緩和を行うことを発表。今月29日より、年齢ごとにワクチン接種回数を設定し、それによってレストランなどの入ることの施設が制限される「ワクチンパス」を廃止する。海外からの渡航者は香港国際空港到着時と2日目にPCR検査を受けなければなかったが、こちらも不要になった。ただし、入境後翌日から5日間の抗原検査については維持する。

 このほか、1卓当たりの上限、1.5メートルのソーシャルディスタンス、公共の場での集まりを制限する「限衆令」(現在は12人)についても撤廃したほか、濃厚接触者の規定も廃止。仮に家族が陽性者となっても当人は隔離の必要がなくなり、自由に外出できるようになった。ただし、公共の場でのマスク着用義務は残った。

 今回の緩和により、香港はマスクを除けば約3年に及ぶ新型コロナに関する規定の多くがなくなったことになる。最後は中国本土と香港の隔離なしの往来がいつになるかだ。現在、最終調整が行われており、2023年旧正月前の1月中旬に始まることが有力視されている。

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