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60年の歴史を持つ中華レストランが閉店-愛された6個34ドルの小籠包

同店で人気メニューであった小籠包

同店で人気メニューであった小籠包

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 約60年の歴史を持ち、銅鑼湾にある上海料理店「上海一品香」(G/F., 37-39 Jardine's Bazaar, Causeway Bay, Hong Kong Tel: 2577 9169)が1月末日、香港政府から要求された店内改修について負担が重過ぎることを理由に閉店することになった。香港の有力紙「Apple Daily」が報じた。

閉店が決まった老舗上海料理店外観

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 同店は現在の店舗の裏手にある啓超道が始まり(現在は閉店)で、1987年に現在の場所に移ってきた。店はグランドフロアと1階(日本でいう2階)構造があり階段でつながっている。開業時はこれでライセンスを取得し、これまでの更新時にも何も言われてこなかったが、一昨年、消防署が店のチェックに来たとき「この建物としては階段があってはならない」と指摘。昨年、屋宇署が店主に階段の取り壊しを求める通知を出した。開店当初と比べると家賃が約20倍にまで高騰しており経営を圧迫していたという。

 上階には10卓のテーブルがあり売り上げの半分を占めるが、それが使えなくなるうえ、改修費に300万ドルかかるというダブルパンチのため当初はあと2年営業するつもりだったが予定を早め閉店を決断した。

 啓超道店としてオープンした当初は325種類ものメニューがあり、カジノ王、何鴻桑(スタンレー・ホー)とともにカジノで大もうけした富豪、霍英東(ヘンリー・フォック)、鏞記の2代目甘健成などが常連客だったという。1987年に現在の場所にも店を開いたが、こちらはスタイルをガラリと変え、庶民の味のレストランとして営業した。こちらも甄子丹(ドニー・イェン)らが来店していた。

 同店の岑德智さんは「毎年6月4日の天安門事件と7月1日のデモ行進では、行進に疲れたデモ隊の一部が店にやって来て豆乳や菜飯を購入していった」と振り返る。レストランの外には、金融危機やSARSなど不景気のとき同様、「ここで数十年にわたり発展してきたのはお客さまのお陰」という張り紙を貼り出す。

 香港では今でこそ夜にでも飲茶が食べられるようになったが、基本的には朝や昼に食べるもので夜は食べないというのが通常だった。同店は上海料理の象徴でもある小龍包(ショーロンポー)がいつでも食べられるだけでなく、6個で34ドルと格安なことから人気を集め小龍包の注文が後を絶たなかった。閉店のニュースを受け、通常はあまり忙しくない夕方の時間帯でも客がひっきりなしに来店しており、別れを惜しむかのように料理を味わい店の雰囲気を堪能している。

 営業時間は7時~24時。

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