香港のアカデミー賞授賞式にあたる「第39回香港電影金像奨（Hong Kong Film Award）」が5月6 日に行われ曾國祥（デレク・ツァン）監督の「少年的●/ Better Days」（邦題：少年の君）が受賞した。今年は新型コロナウイルスの影響で各賞の発表は史上初のオンラインで行われた。2020年に入り新型肺炎が香港内でも発生し、感染が拡大。今年は2月12日にノミネートの発表が行われたが、記者会見は中止となり各メディアにはメールでノミネートのリストが届いた。

　式典の会場は尖沙咀（Tsim Sha Tsui）の文化中心（Cultural Centre）で毎年行われているが、香港の中心部で人の流れが多いことから当初は九龍湾（Kowloon Bay）の九龍湾国際展貿中心（KITEC）で行う事を計画されていた。しかし、4月半ばに入って新型ウイルスの感染の新規感染者数が落ち着いてはいるものの、授賞式には400人以上の人が会場に集まること、香港政府からは式典などの大勢の人があつまる大規模なイベントは中止という指示がでていることから、当初4月19日に行われることになっていたが式典の開催を断念することになった。

　各賞の発表は金像奨の歴史で初めて、YouTube、Facebook、InstagramなどのSNSやインターネットサイトを利用して行う事になった。オンラインで行われた発表会は、香港電影金像奨協会（Hong Kong Film Awards Association）の爾冬陞会長が淡々と受賞者を読み上げる形で行われ20分にも満たないものとなった。

　最優秀作品賞にノミネートされたのは「少年の君」のほか、「叔?叔 / Suk Suk」、「花椒之味 / Fagara」、「麥路人 / i’m livin’ it」、「新喜劇之王 / The New King of Comedy」の5作品。受賞した「少年の君」は「第15回大阪アジアン映画祭」に出品され「観客賞」を受賞している。学校でいじめを受けながら大学受験を控える高校生が母に捨てられた不良少年と出会い、お互いに辛い思いを抱えながら支え合っていく物語だ。曾監督は「この映画の製作チームは、私にとって1つの楽園のようなもの。最優秀作品賞は本当に感動。大勢の人に感謝する」と受賞後にコメントを残した。

　主演男優賞は老人2人の同性愛を描いた「叔?叔 / Suk Suk」の太保（タイポー）だ。成龍（ジャッキー・チェン）の映画にもよく出演していた名バイプレーヤー的な存在だったが、長いキャリアを活かして難しいテーマを演じ切った。

　主演女優賞は「少年の君」でいじめられる少女を演じた周冬雨（チョウ・ドンユィ）の頭上に輝いた。最優秀新人賞はこちらも「少年の君」で不良少年を演じた易?千璽（ジャクソン・イー）が受賞。このほかにも最優秀監督賞を含め全部で8部門を制した。

　このほか日本でも人気を集めたカンフー映画「イップマン」シリーズの最後で、甄子丹（ドニーイェン）が主演する「葉問4完結篇 / Ip Man 4 The Finale」は音響効果など3部門を受賞した。

●＝にんべんに尓