尖沙咀の香港藝術館内にあるオーストラリアモダンダイニング「Hue Dining（フエ・ダイニング）」（1/F Hong Kong Museum of Art,10 Salisbury Road, Tsim Sha Tsui, Hong Kong、TEL 3500 5888）の新しいエグゼクティブシェフに10月25日、ウィルソン・レオン（Wilson Leung）シェフが就任した。

ひとつひとつの食材を時間をかけて調理する

　天井も高くビクトリアハーバーの景観を楽しむことができる同店。場所柄、店内にもアートをちりばめた。コンテンポラリー・アート・ギャラリーの一つであるタニヤ・バクスター・コンテンポラリー・アート（Tanya Baxter Contemporary Arts）と提携し、レストランのダイニングルームにアート作品を展示している。現在は光の移ろいをテーマにした抽象的な風景画を描くリチャード・アレンさんの作品を含む、モダンオーストラリアの視点を反映した作品を並べる。ほかにもバンクシー、アンディ・ウォーホル、ジョン・キーなど世界的に有名なアーティストの作品も。

　オーストラリア生まれのウィルソンシェフは、オーストラリア料理を基本に多くの文化から着想を得たメニューを提供する。ウィルソンシェフは幼い頃からメルボルンにある家族経営のレストランで手伝いをしながら料理に親しんできた。オーストラリア政府公認の最高の料理・ホスピタリティー教育機関であるウィリアム・アングリス・インスティテュートで学び、その後、サーカ1876（Circa 1876）でシェフハットを2回受賞したほか、メルボルンのディナー・バイ・へストン・ブルメンタール（Dinner by Heston Blumenthal）に4年間勤務し、ヘストン・ブルメンタールさんのユニークな料理技術やクラシックなフランス料理の技などを磨いた。

　その後、ウィルソンシェフは自分の居心地の良い場所を離れて香港に移ることを決め、2019年にBelonのチームに加わり、この街のエネルギーにほれ込んだ。キャリアの中で学び、発展させてきた洗練された技術を採用したシグネチャースタイルを作り上げて今回のメニューに生かしているという。

　食材にこだわり、季節感と遊び心を表現する。2コースのディナーメニューは650香港ドル、3コースのディナーメニューは750香港ドルに設定した。5コースのテイスティングメニューは850香港ドルから提供する。香港文化センターの当日の公演チケット（毎日17時30分～19時30分利用可能）を提示すると、15％引になる。

　新メニューのハイライトは、エルサレム・アーティチョーク、カシュークリーム、チャイニーズ・セロリ・マヨネーズ、トリュフを使ったメニュー。「根菜を一皿に」をコンセプトに、アーティチョークを最も自然な状態で提供したいというシェフの思いから生まれた一品で、甘みを加えたカシューナッツクリーム、チャイニーズ・セロリ・マヨネーズを添え、季節のトリュフを削り出してトッピングしている。

　メインには、ネギのグリル、カリフラワー、ヘーゼルナッツなどを添えた「鶏胸肉のロースト」や、82度で一晩かけてじっくりと調理した豚バラ肉を、調理したフェンネルシード、ブラウンシュガー、バターで炙（あぶ）り、ブラックプディングとカブを添えた「豚バラ肉の燻製、フェンネル、ブラックプディング、カブ」のほか、ロメスコソース、焦がしたクズミ、オリーブで仕上げた「タコのグリル」など。

　デザートはベルガモットのタルトにスイス産メレンゲのトーストとパッションフルーツを添えたもの、クレームブリュレにルバーブとバレンシアオレンジのポシェットを添えたものなど、甘すぎないスイーツを用意した。

　ランチメニューも刷新。例えば枝豆のリゾット、マグロの炙り、アスパラガスとワイルドマッシュルームのポテトニョッキなど。2コース（298香港ドル）の場合は、前菜とメインか、メインとデザートのどちらかを選ぶことができるようにした。3コースメニューは398香港ドルで提供する。

　週末はシャンパンブランチも提供中で、前菜、メイン、デザートそれぞれ1品を含むビュッフェ（450香港ドル）で、360香港ドルの追加で2時間飲み放題となる。ほかにもアフタヌーンティーセット(2人用680香港ドル)などもある。

　営業時間は、ランチ＝12時～15時、アフタヌーンティー＝15時30分～17時30分、ディナー＝17時30分～深夜、週末ブランチ＝11時～15時。