2021年上半期で香港経済新聞の年間PV（ページビュー）ランキング1位に輝いたのは、香港は12人に1人が資産1億円以上の億万長者について伝えたニュースだった。億万長者は10万人以上増え過去最高を記録している。

　コロナ禍の厳しい環境の中でもいまだ香港には、多くの資産家がいることが分かるニュースが首位を獲得した。同調査は、アメリカの大手銀行シティバンクによる、裕福層の実態調査「香港千萬富翁調査報告2020（Hong Kong Affluent Study 2020）」で、香港で資産1,000万香港ドル（約1億4,000万円）を持つ資産家は過去最高の51万5,000人に達することを報告している。

　2位には、上半期で１位を獲得した「カキをメインにした居酒屋」の記事、3位にも上半期4位であった高級すし店オープンのニュースがランクインするなど、日本に帰ることができない中、香港で多くの日本食材を扱うレストランにも注目が集まった。ランキングは、今年1月1日から12月16日までに配信したヘッドラインニュースのPVを集計したもの。上位10位のランキングは以下の通り（カッコ内は掲載日）。

1. 香港は12人に1人が資産1億円以上の億万長者　10万人以上増え過去最高（5/8）

2. 香港にカキをメインにした居酒屋「Kagura牡蠣小屋」　生ガキや蒸しガキをお好みで（5/13）

3. 香港・中環に高級すし店「鮨たけのり」　世界を渡り歩いた職人が握る創意工夫を凝らしたすし（3/17）

4. 香港政府、強制隔離緩和にワクチン接種を必須条件に　日本からは2回の接種が必要 (5/10)

5. アジア太平洋の地価、香港・尖沙咀が最も高い地区に　銅鑼湾が1位から転落 (4/30）

6. 「アジアのベストレストラン50」発表　広東料理「大班楼」が香港として初の首位獲得（3/30）

7. 香港政府、5,000香港ドル分の電子消費券を8月1日から配布へ（6/21）

8. 香港の人気ヌードル「譚仔三哥米線」が日本進出へ　来春のオープン目指す（10/11）

9. 香港政府、2022年の祝日発表　恒例の「攻略法」など話題にならず（6/1）

10. 香港市民のコロナ後旅行についてのアンケート調査　回復早くも最大の関心は隔離措置に（6/2)

　4位は、コロナ関連の記事で、香港政府、強制隔離緩和にワクチン接種を必須条件にしたニュースだった。これはオミクロン株流行前の記事であることから、日本から香港への渡航に興味をもっている読者が多いことが分かる。

　香港での新型コロナ肺炎は、香港での感染者が約1万2507人と封じ込めている。香港はオミクロン株の感染者がアフリカ大陸以外でいち早く見つかったことから日本からも心配の声があったが、実際の感染者は輸入症例ばかりで、ここ2カ月以上香港域内での市中感染は確認されていない。中国本土と同様、ゼロコロナ政策に舵を取っていることから、その分、香港入境について、また日々の生活でも厳しい措置が敷かれ、市民は守らなければいけない。

　日本から香港への入境の場合は、香港居民のみ21日間の政府指定ホテルでの強制隔離が必要となっている。一方香港在住日本人が帰国する場合は12月15日0時より検疫所長が指定する場所での3日間強制隔離を求めず、隔離は自宅など、指定場所での14日間の待機となっている。香港では、長期の強制隔離などが強いられるため、デモに続くコロナの状況で、香港ビザがあるにもかかわらず長期にわたり来港できていない人も悩みを抱えている人もおり、日本からのアクセスも増えている。

　5位にもまた香港の地価の高さを表す記事がランクインし、香港の物価の高さが改めて分かる。地価の高い場所での店舗経営や生活は大変である一方、高級なものを消費できる資産をもつ人も多いことから、消費単価の高いレストランの記事も多くランクインした。併せて、グルメである人が多いことからも、アジアベストレストラン広東料理「大班楼」が香港として初の首位獲得したニュースも香港で大きな話題となった。

　同じくグルメ関連記事の中、2022年に香港の人気ヌードル「譚仔三哥米線」が日本に進出する（8位）は日本、香港双方から注目を集め、2018年に進出した香港飲茶「添好運」に続く香港有名ブランドの日本上陸として心待ちにしている人も多い。

　香港は「国家安全法」に伴う厳しいニュースも多かったなか、政府による規制や措置などは着実に増える一方、香港内の消費意欲なども活発で、新規店舗のオープンも多い。特に日本に焦点を当てて考えれば、日本食レストランでの消費単価も上がり、さらに渡航が解禁されれば日本各地での消費につながる可能性も考えられる。通常ランキングに入ることが多い香港の都市計画についても、香港の様子を取材することで、香港の街の移り変わりを記録していく予定だ。今後もコロナ関連のニュースについては、定期的に香港の措置や日本入国についての情報をアップデートしながら、来年も香港で生活する人、香港へのビジネスを継続する人たちにとって役立つ、日々のニュースをいち早く伝えていきたい。