2026年香港経済新聞の上半期PV(ページビュー)ランキング1位に輝いたのは、香港にポルトガル式エッグタルトの新店が香港に開業したことを伝えたニュースだった。6月に看板メニューのポルトガルカスタードタルト(Pasteis de Nata)で注目を集めたポルトガルのベーカリー「Manteigaria(マンテイガリア)」が香港に旗艦店を開業した。
香港ではしばしばエッグタルトは、香港式が好きか、マカオ式が好きかの議論が繰り広げられる。見た目は似ているが、香港式は、クッキーのようなショートクラスト生地を使い、フィリングは卵の風味が強いカスタード。シンプルで軽やか、焼きたてを熱々で食べるのが基本で、茶餐廳やベーカリーで日常的に親しまれる「庶民のおやつ」として定着している。マカオ式は、パイ生地を使い、フィリングはプリンのように柔らかくクリーミー。観光客に人気があるが、ポルトガル式は、一般的にはマカオ式に似ているものの、フィリングは生クリームと卵黄を使った濃厚なカスタード。さらに表面を高温で焼いてキャラメリゼ(焦げ目)をつけることを特徴とする。
ランキングは、今年1月1日から6月30日までに配信したヘッドラインニュースのPVを集計したもの。上位10位のランキングは以下の通り(カッコ内は掲載日)。
1. ポルトガルのエッグタルト「Manteigaria」、香港上陸 初日から行列も(6/2)
2. 香港国際空港第2ターミナル、5月に運用開始へ 日本行きの航空会社も(2/23)
3. 香港政府、2027年の公衆休日発表 イースターに大型連休の可能性も(5/18)
4. 香港からの訪日客、唯一前年割れ市場に 1日当たりの消費単価は首位維持(1/23)
5. 香港エアポートエクスプレス、インタウンチェックインさらに2社拡大へ(3/17)
6. 香港の城中村「茶果嶺村」の終焉近づく 老舗冰室に香港各地から人波(6/10)
7. 香港の「茶餐廳」を深堀りする企画展 専門家集結、香りから注文体験まで(3/15)
8. 香港政府、路線バスのシートベルト着用義務をいったん撤回 わずか6日で(2/2)
9. 香港エクスプレスが世界一のLCCに 4位から躍進、日本路線も積極的に(3/25)
10. 香港でネオンサインの展示企画 実物看板展示で没入感演出(1/8)
2位には香港国際空港第2ターミナルが5月に運用開始することを報じた記事がランクインした。実際に同ターミナルは5月27日に業務を開始し、LCCを中心とした航空会社が移転をし、チェックイン業務を始めた。日本にも多くの路線をもつ香港エクスプレス(HK Express)、香港航空、グレーターベイ航空をはじめ、エアアジア、ベトジェットエア、セブパシフィック航空など、短距離・地域路線を運航する14社の航空会社の出発口となる。
3位には毎回恒例となる「2027年香港の祝日発表」の記事がランクイン。香港の祝日発表は、地元のメディアの間でも「攻略法」なるものが拡散され、いつ有給休暇(有休)を取れば連休になるかに話題が集まる。日本人の間でも香港向けのビジネスを手がける人、香港に在住する日本人も香港の祝日について検索する傾向があり、アクセス数が伸びた。ランキングは上半期の記事のみを対象とするが、同ランクに今年2026年の祝日に関する記事もランクインしており、多くの読者が香港の祝祭日を検索する傾向がある。
4位、5位には香港に住む人の間では日常生活の話題となる「旅」に関するニュースがランクインした。年間の訪日客数について香港市場のみ前年比割れとなった記事だが、この背景には昨年日本で地震が起きるうわさが拡散し、多くの香港人が日本への渡航をとりやめる傾向が続いた。この出来事をきっかけに日本路線の航空便を停止した航空会社もあり、現在も全体数としては回復基調にあるものの、地方路線についてはいまだに戻っていない路線もあるなど、影響が続いている。5位は、街なかでのインタウンチェックインについて、航空会社の幅が広がったことを伝えた記事だが、香港はコロナ禍前はLCC各社までもが、インタウンチェクインができることが当たり前だった。搭乗客は搭乗前日や朝に市内で搭乗手続きと荷物預けを済ませ、空港まで最小限の手荷物で移動できる利便性が高く評価されていた。サービスが拡大したとはいえ、今だにキャセイパシフィック航空、香港航空、カンタス航空、シンガポール航空、チャイナエアライン(中華航空華信航空に限られる。
6位・7位は香港のローカル食堂である「茶餐廳」や城中村「茶果嶺村」にある老舗冰室の記事など古き良き香港大衆の日常にフォーカスする展示やストーリーに注目が集まった。香港の茶餐廳には香港人のDNAである「効率」「合理性」「柔軟」に加え、香港らしい「人情」も詰まっており、「香港らしさ」を感じることができる場所になっている。10位にはランクインしていないものの惜しくも11位に「香港の茶餐廳元祖『ホノルル』閉店」の記事が入っており、エッグタルトやミルクティーをはじめバター入りのパイナップルパン「菠蘿油」なども観光客からも注目度が高い。
8位にも香港らしい話題、「香港政府、路線バスのシートベルト着用義務をいったん撤回」が登場した。香港の性格としては、「やってみないと分からない」とする傾向があり、見切り発車で法令がスタートしたことにより、そもそもシートベルトが装着されていないバスが4割あったり、2階建てバスで上の乗客が到着してから外すと降りられずに出発してしまう可能性があったりすることへの不満も出ていた。施行からわずか6日で撤回となったきっかけは乗客が降りる際、シートベルトが外せなくなる問題が発生したため。香港政府の「朝令暮改」を批判しつつもネタにして笑うという香港らしさを垣間見ることができた。
9位は再び、航空関連のニュース、香港エクスプレスが世界一のLCCになったことを報じた記事がランクインした。キャセイパシフィック航空の傘下であることから信頼度も高く、日本にも地方を含め多くの航空路線をもつ。同社は2025年に約800万人の利用者を運び、これは香港国際空港利用者の8人に1人を担う計算となる。平均84%という高い定時運航率を維持しながらネットワークを拡大し、アジア域内のアクセスを強化してきた。
そして10位には再び、かつての香港を懐かしむ「ネオン看板」についての企画展が入った。規制も増え、この10年で9割のネオンサインがなくなったといわれているが、展示には、修復された実物のネオンサインが多数並び、観光客だけでなく多くの市民も足を運んだ。
7月1日、香港は中国への返還から29年を迎えた。域内の景気は依然として低迷が続いており、香港居民の約半数が中国本土へ旅行し、現地で消費を行う「北上消費」が定着しているとされる。一方で、広東省・マカオを含む粤港澳大湾区の経済一体化は着実に進展しており、香港においても北部都会区の開発など、本土政府の政策と歩調を合わせることが一層求められる状況もある。
下半期も、香港で生活する人、香港とのビジネスをする人にも役立つ日々のニュースをいち早く伝えていきたい。