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香港市民全員への3回の強制検査 2回接種の自宅隔離者、陰性なら7日で終了

急激な感染者増加により日々規定が変わる香港

急激な感染者増加により日々規定が変わる香港

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 林鄭月娥(Carrie Lam)行政長官は2月22日、オミクロン株による感染拡大が止まらないことから、3月に約750万人の香港市民に対して強制PCR検査を実施すると発表した。また、自宅隔離や隔離施設で隔離していた人について、これまで14日の隔離を原則としていたが、ワクチン2回接種を完了している人に限り6、7日目に検査をして陰性だった場合、7日目で隔離が終了することも発表した。

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 香港は27日現在、検査による陽性反応を示した人は 17万1314人、最終確定した累計感染者は6万8851人、死亡者は659人となっている。新規感染者は2万6026人、うち6人は海外からの輸入症例だ。一方、ワクチン接種者については、1回目が597万489人(88.7%)、2回目も終えた人は518万7503人(77%)となっている。3回目の接種回数は169万9062回だ。

 オミクロン株が猛威を振るう香港では新規陽性者が2月25日に初めて1万人を突破し、ピークアウトがいつ迎えるのか予想もできない状況だ。そこで香港政府は中国政府の力を借りて1日20~30万回のPCR検査能力を100万回にまで増強し、香港市民に対し3月に「全民強制檢測(Compulsory Universal Testing)」を実施することを決定した。感染者を一気にあぶり出し、隔離、治療をすることで感染拡大を一気に抑えようという、ある種の力技だ。

 検査回数は1人3回で5~7日に1回検査を実施し、出生年ごとに検査を行う。全香港市民が対象のためかなりの数の検査会場を設置する予定だ。検査終了後に会場で次の検査が5日後であれば5日分の「快速抗原測試(Rapid antigen tests)」(抗原検査キットのこと)とKN95のマスクも手渡される予定になっている。検査の予約方法は、後日発表されるが大人1人に対して子ども2人または高齢者1人を同伴できる。

 もし陽性であれば、重症化していれば入院か、社区隔離施設(CIF)や隔離用ホテルまたは公営住宅などの隔離施設に送られることになっている。できれば3月中に全市民検査を終了させるほか、まだ詳細は発表されていないが違反者には罰則が与えられる。

 現在は、PCR検査能力の不足を補うために抗原検査の活用を行う。15分~20分で検査結果がすぐ判明することと、抗原検査キットの精度も向上しているためだ。地域のミニロックダウンや感染者が出たマンションの住人全員などに対して、政府は状況に応じて強制PCR検査を発令。当該者は香港内に点在する社区検測中心(Community testing centres)でPCR検査を受けてきたが、これを自宅で可能な抗原検査に切り替える。これまでは抗原検査で陽性となった場合、より精度が高いPCR検査をうけて病状を最終確定させていたが、抗原検査での判定のみとすることになった。この抗原検査で陽性となった場合、インターネットで登記することで報告しなければならないが、詳細はまだ明らかになっていない。

 自宅での抗原検査を重視することになり、稼働率の低い19の社区検測中心がなくなることになった。一方で、政府は抗原検査キットの配布場所を増設するほか、専用の車を用いてキットを市民の手に届きやすいようにする。

 香港政府は2月26日、自宅、CIFなどでの隔離について、これまでは14日間の隔離を原則としてきたが7日に短縮すると発表した。今後はPCR検査を受けた日の翌日を1日目とし、6、7日目に受けた検査(抗原検査も含まれる)で陰性だった場合、2回のワクチンを接種済みであれば、隔離は終了することになる。これは、病床のひっ迫やPCR検査の負荷を減らすための措置だ。

 2月23日に期限を迎える各種防疫措置について2月24日から3月9日まで延長することを発表した。公衆の集まりは最大で2人、2世帯以上がプライベートな空間で集まることも禁止、飲食店の18時以降の店内飲食禁止のほか、D類は1卓当たり4人が2人に減った。バー・パブ、アミューズメント施設(ゲームセンター、ビリヤード場、ボウリング場、アイスリンク)、浴室、フィットネスセンター、公共娯楽施設(コンサートホールなどの会場)、パーティールーム、美容院、ナイトクラブ、カラオケ、マージャン、マッサージ、スポーツ施設、スイミングプール、クルーズ船、イベント会場、宗教(礼拝)施設、理髪店/髪型屋も営業停止は継続される。

 ただし、マスク着用義務は、公共の場においては適用外だったカントリーパークでの着用義務化、公共交通機関での有料エリアでは飲食用にマスクを外すことが認められなくなるなど、一部が厳格化された。さらに、水際対策で規定以上の新規感染者などが出た場合、香港に到着する便を14日間禁じる「熔断機制」は4月20日まで延長する。適用国はオーストラリア、カナダ、フランス、インド、ネパール、パキスタン、フィリピン、イギリス、アメリカの9カ国。外国資本の香港離れが加速することが懸念されている。

 学校では3月から4月18日まで、大学を除く幼稚園、小中高、インターナショナル校の夏休みを前倒しするとした。その間はPCR検査の会場として使う。それに伴い、日本のセンター試験に相当する香港中学文憑(DSE)は4月22日にずれ込む予定だ。加えて、2月26日から渣打銀行(Standard Chartered Bank)と中国銀行(香港)、3月5日から香港上海匯豊銀行(HSBC)は土曜の営業を停止する。

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